2018/01/31

『全能兵器AiCO』感想 鳴海章

全能兵器AiCO
全能兵器AiCO
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鳴海 章
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無人戦闘機を題材にした近未来SF…というよりは
限りなく現在に近いSFという感じでしょうか。

ディープラーニングを応用して自己進化するAIや、
技術力のある民間企業だけで作ったステルス戦闘機など、
作中で使われている技術は夢物語というよりは
すぐそこにある手の届くものという印象が強いです。
格差社会が生み出したアジアの富裕層がお金を出し合って
中国に対抗する兵器を作らせるという発想も実に現代的。

航空自衛隊の教導隊に所属するエースパイロットと、
教導隊のデータを持つAIの対決というシチュは熱い。
機体の限界機動を行い続ける無人機に圧倒されつつも
定石外しの行動で隙を作って勝つ展開も王道です。
そう簡単に撃てないからこそ世界一の技術を目指す
航空自衛隊というのは誇るべきものですが、
自衛隊という存在の歪さを感じる部分でもありました。

ただ、作品の最後でも匂わせていたように
AIはいくら落とされてもバックアップがあって、
しかも経験値は継続できるという利点があるので
人間が負けるのも時間の問題ではあるんでしょうね…。
無人機動兵器と言われると僕らの世代では
どうしてもガンダムWを思い出してしまうのですが、
ああいう血を流さない戦争の時代はすぐそこなのかも。
恐怖…というほどのものではないのですが、
どこかひんやりとした感触のある小説でした。
2018/01/28

『泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部』酒見賢一 感想

泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部
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酒見賢一さんのヘンテコ三国志もこれにて完結。

三国志の代表人物たる劉備も曹操も既になく、
物語の進行はいよいよ孔明の双肩に委ねられることに。
本作の内容は孔明の南征と北伐メインということもあって
今回の孔明は主人公に相応しい活躍を見せてくれます。

とはいえ、最初に比べると酒見さん特有の悪ノリは薄れ、
既存の物語に近い内容になってしまったのはちょっと残念か。
南蛮相手の南征はまだコメディちっくなノリでしたけど、
失敗すると分かっている北伐を軽いノリで描くのは
流石の酒見さんといえど難しかったのかもしれません。

しかしそれでも三国志という題材のポテンシャルもあって
楽しめる作品に仕上がっているのは確かです。
特に司馬懿の手強さはきっちり描かれていましたね。
孟達を討つ際の手際の華麗さは頭おかしいレベル。
まあそれでも孔明に走らされるのですが。

若干パワーダウンを感じさせる最終巻でしたが、
最後の、孔明の本職は政治家で北伐は無謀だったとしても、
この北伐があったからこそ輝くという結論には目から鱗。
孔明的には蜀を維持するための悪足掻きだったんでしょうけど、
これがなければ三国志の後半はもっと味気ない物語に
なっていたでしょうし、一人の読者として
孔明の行動を肯定してあげたくなる作品でした。
2018/01/18

『絶望的――寄生クラブ』鳥飼否宇 感想

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なかなか手の込んだバカミスでした。

日々変態ちっくな研究に熱中する教授の論文が
次々とバカミスに変化していくという本作。
作中作である4本のバカミスは
いずれもお馬鹿なトリックが使われていて、
真面目に読むと分投げたくなること間違いなし。
論文がバカミスに変化してしまった理由もデタラメで、
まさにバカミスの詰め合わせという内容になっています。

主人公である教授自身も変態ではあるのですが、
作中作は更に性描写が多いので好き嫌いは分かれそう。
ただ、基本的に頭がおかしい展開が多いせいで
興奮するよりもむしろ冷静になっていしまい、
バカミスとしてのトリックも落ち着いて楽しめました。

作中のトリックは見たこともないネタというよりは
どこかで見たようなネタだけどバカ過ぎて
使う人が少ないネタという感じですが、
ある程度バカミス知識がある人が読むと楽しめそう。
知識がない人が読むと完全に置いてけぼりにされるか、
それともこのヘンテコなノリにハマってしまうのか、
1000人ぐらいに読ませて統計を取りたいですね。
あ、バカミス嫌いの人には絶対オススメできません。

バカミスを読むのは久々でしたけど、
これほどまで「バカミスだぞ。バカミスだからな!」と
強く主張してくる作品ははじめて読んだ気がします。
これはこれでなかなか楽しい経験でした。
2018/01/13

『裏関ヶ原』吉川永青 感想

裏関ヶ原
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関が原の合戦に関わった6人の武将たちの物語。

黒田如水、真田昌幸の物語は少し似ています。
両者ともに当時屈指の策士であり相応の野心を持ちながら、
なぜ天下を取ることができなかったかということを
それぞれ甘く見ていた息子たちに教えられるという展開。
どちらも野心から開放されて終わるので爽快感があります。

佐竹義宣の生き様は非常に強かで痛快ですね。
三成と家康、それぞれに対する義理はしっかり果たしつつ、
決して義理以上の手助けはしないという頑固っぷり。
表面上は義理堅さを見せつつ内心では隙があれば
全力で勝ち馬に乗ろうと考えてるズルさも面白いです。

細川幽斎の立ち回りもお見事。
歌を極めたがゆえに秀吉の耄碌を見抜き、
歌で作った人脈によって大軍に攻められても生き延びる。
ラストでは成長した忠興に歌でチクリと
反撃されるところも愛嬌がありました。

最上義光の物語は殺された娘の復讐譚でしたけど、
これについては使い古されたネタだったのが残念。
謀将として見た場合も意外性のある策が少なく、
全体的に新鮮さの薄い作品でした。

ラストの織田秀信の話はちょっと切ない。
信長の孫としての呪縛を振り切った秀信が
自分の意思で三成に味方するという展開はいいのですが、
終わり方が物悲しくて爽快感は少なかったです。

全体で見ると前半の黒田、佐竹、細川、真田の物語は
爽快感の溢れるハッピーエンドだったのに対して
後半の最上、織田の物語が重めの内容だったせいで、
一冊の本としては微妙な後味になってしまった感が。
前半の4本の雰囲気のまま最後まで走ってくれれば
文句なしの良作だったんですけどね。
もしくは最初から暗めの作品ばかりを集めるか。
前半だけでも十分楽しめたのですが、
それだけに後半の落差が惜しい作品でした。
2018/01/04

2017年のご挨拶

あけましておめでとうございます。
微妙に間が空いてしまいましたが新年初書き込み。

去年の年末に心筋炎で入院したせいで
正月休みも含めてほぼ1ヶ月間引き込もり生活でした。
そのうち2週間程度は病院でしたが。

この件でちょっと見直したのがテレビの持つ力ですね。
入院中や退院直後は読書やゲームする気力がなく、
だからと言って寝ているだけでは余計に気が滅入る。
そんな時の暇潰しにちょうど良かったのがテレビでした。
特に普段は見ないようなバラエティ番組が良かったです。
真剣に見なくていいというのが意外と救いになるんですよね。
今回はああいう番組の必要性を改めて実感させられました。
最近の番組はどうとか言えなくなったなぁ。

しかし入院のおかげで年末のエロゲ発売日は完全スルー。
12月はMIBUROを買おうかと思っていたのですが…。
でも評判を見ていると結果的にスルーして良かったかなと。
続編物はできるだけ完結してからプレイしたい。

去年のエロゲプレイ本数は7本と少なめでしたが、
これはビビッと来るテキストが少なかったり
ビビッと来るヒロインが少なかったのが大きいですね。
まあ、そういう年もあるってことで今年に期待です。

ソシャゲ熱は大分落ち着いてきたようで、
全体での課金額が少なくなったのには一安心。
現在はFGOとアズレンメインですけど、
FGOは天井がないおかげでちょこっと回す程度です。
天井がないせいでどこまでも回してる人もいますが、
自分はストップがかかるタイプなので相性がいいかも。
アズレンは衣装課金程度で額は知れたもの。
ただ、どちらもイベント周回で時間を取られるタイプなので
他の物に手を出せなくなるのが難点ですが。
艦これも今のところは甲12ですけど、
時間を取られ過ぎるので今年はどうしようか…。

そんな感じで肉体的な問題もありオタ方面へのモチベが
若干下がり気味ではありますが、自分好みの作品を
見逃すのは惜しいのでアンテナだけは磨いておこうかなと。
そんな感じで、今年もよろしくお願いします。