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『メガバンク絶滅戦争』波多野聖 感想
メガバンク絶滅戦争
メガバンク絶滅戦争
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波多野 聖
新潮社
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メガバンクが大量の国債を購入した直後に利回りが急上昇。
それに伴って国債の価値が暴落し、破産の危機に陥った
メガバンクを巡って様々な勢力が暗闘を繰り広げる経済小説。

舞台になっている銀行のモチーフは三菱東京UFJでしょうか。
行内最大勢力である三菱閥が結構酷い扱いですが、
財閥系企業は動きが鈍い割にはプライドが高いという
よろしくないイメージがあるのも確かです。
合併ネタだと大抵は強い側が弱い側に対して
陰険な嫌がらせをしていますけど、実際はどうなんだろう。
さすがに本書のように名前を三菱銀行にしろみたいな
無茶で愚かな要望は出さないとは思いますが…。

体力が落ちた銀行を狙って個人投資家やファンドが
動き出すというのも経済小説ではお約束ですが、
今作では人間関係によって買収を回避するのがポイント。
過去の因縁がピンポイントで敵対組織のキーマンに繋がって
裏切りを誘発してくれたおかげで勝てるというのは、
ちょっとご都合主義過ぎるようにも見えます。
とはいえ、そうでもしないと敵側に隙がないですし、
お金だけでなく人間関係で決着が付くというのは
経済小説としては綺麗に終わっているようにも思えます。

でも主人公の扱いはふわっとした感じでしたね。
中間管理職で気弱ながらも決めるときは決める男ですが、
個人的にはこの主人公のプライベートは余分に感じました。
過去の恋とか嫁関連とかいまいち興味が持てなかった。
これなら主人公より上司である桂さんに重点を置いた方が
経済戦争を描写するという点では腰が座ったかも

そんな感じで割と引っかかる場面も多いのですが、
二転三転する国家規模の話は面白かったですし、
経済ネタも小説として分かりやすく読める作品でした。

テーマ:読書感想 - ジャンル:小説・文学

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第50話 感想
『未来もいい日に』

次々と脱出する鉄華団メンバーですが、
三日月と昭弘のガンダムコンビは殿に残ることに。
最後の最後でガンダムの名前を名乗りあげるの、いいなぁ。

たった2機といえどこちらはガンダム。
ギャラルの雑兵では歯が立たず撃破され続けるものの、
そこへ例によってダインスレイヴが炸裂します。
序盤はMSの数が勝負を決める感じだったのに
ここ最近はダインスレイヴの数で決まる感じですね…。

バルバトスとグシオンは大破したものの戦闘は続行。
瀕死の昭弘ですが眼前にイオク様が現れたことで奮起し、
最後の根性をひねり出してイオク様を討ち取りました。
イオク様の悪運も昭弘の執念には及ばなかったか。南無。

三日月とバルバトスも雑兵相手に猛威を振るうものの、
最後は同時に力尽きる形でジュリエッタに討たれました。
三日月の独白は切なかったですね。
何も持ってなかった彼が最後に数々の絆を自覚したのは
僅かでも救いになってくれたと思いたい。

そしてエピローグ。
マクギリスと鉄華団は討たれたものの、
火星は独立性を強め世界は少しずつよい方向へ。
ラスタルとクーデリアはヒューマンデブリの救済に合意。
ガエリオとジュリエッタが仲良さそうなのは微笑ましい。
鉄華団組の大部分は幸せな道を歩み始めた一方で、
ライドのように暗殺者として堕ちる者もいて…。

最後は三日月とアトラの子供、アカツキが出て物語は終了。
でもアカツキよりもアトラちゃんの成長に驚きだよ。

そまあそんな感じで終わってしまった鉄血。
色々言われそうな終わり方ですが結末は嫌いじゃないです。
ただ、そこに至る経緯で雑な部分があったのも確かで、
こういうオチにするならマッキーに対するガエリオ、
三日月に対するジュリエッタの描写をもっと増やせば
すっきりしたと思いますし、ダインスレイヴ無双や
オルガの最期についてももっと凝って欲しかったところ。
話の筋自体は好きなので構成をやり直して欲しいですが…
まあ今回は劇場版もなさそうだし難しいか。
こういう新興組織の隆盛から衰退までの流れって
個人的にはかなり好きなので惜しい。

テーマ:機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ - ジャンル:アニメ・コミック

『宇喜多の捨て嫁』木下昌輝 感想
宇喜多の捨て嫁
宇喜多の捨て嫁
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木下 昌輝
文藝春秋
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戦国時代の梟雄として名高い宇喜多直家の物語。
本作は6本の短編から成り立っていて、
時には直家本人、時には直家の周りにいた人物の視点で
宇喜多直家という人物について描かれています。

一般的には裏切りや暗殺のイメージが強い直家ですが、
この作品ではそこに至る経緯を掘り下げているのが面白い。
若い頃の直家は真面目で誠実な人物として描写され、
そんな彼が主君である浦上宗景の陰謀によって
家中の粛清に加担させられた結果が数々の暗殺という結論。
戦国時代に限らず有力家臣を粛清する主君は多いですし、
これはなかなか説得力のある掘り下げ方だと思います。

そして対抗出来る家臣がいなくなった結果、
直家の存在が大きくなり過ぎて
宗景自身が制御できなくなるというのもまた納得の結果。
便利な道具だった人物がいつの間にか制御不能な化け物に
変化してしまうというのは個人的には大好物です。
直家が稀代の謀略家として大成していくとともに
奇病・尻はすによる膿と腐臭が増えていくという演出も良い。

短編の配置構成も見事で、最初に直家の娘の視点で
直家の最期までを見せ、そこから直家の子供時代に戻り
直家の成長と挫折、そして闇に飲み込まれていく姿を描写し、
最後は別視点で再び直家の最期を見せるという、
最初と最後が繋がる美しい流れになっています。
老婆の正体が分かると切なさが溢れるのには参った。
ラストの一文による哀しい読後感もたまりません。

宇喜多直家は汚い暗殺を多用する反面、
部下には優しく宇喜多軍団は鉄の結束を誇ったといいますが、
その二面性を納得の行く形で見せてくれる作品でした。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

『ニュートンと林檎の樹』体験版 感想
公式はこちら。
laplacian『ニュートンと林檎の樹』応援中!
新興メーカーLaplacianの2作目である
『ニュートンと林檎の樹』を体験してみました。

かの有名なニュートンのいた時代にタイムスリップし、
そこで歴史を修正して現代に戻ってくるゲーム。
と言われても正直、エロゲーとしてどんな作品になるのか
さっぱり分からなくて不安しかなかったのですが、
いざプレイしてみるとなかなかどうして、
テンポ良く進む物語に夢中にさせてくれる作品でした。

主人公と幼馴染がタイムスリップする、というところまでは
あらすじ通りなんですけど、そこからの展開が面白い。
住むところを探したり未来人だとバレないように振舞うという
基本的なところはもちろん、謎の天才ラビとの絡みや
万有引力が消えることでの世界への影響など、
次から次へとイベントが起こって最後まで飽きさせない。
体験版の最後もいい感じで先が気になる終わり方でしたし、
今のところ純粋に物語として面白いという感じです。

しかしその反面、物語の先が気になったせいで
ヒロインのインパクトが薄れてしまったような印象も。
出番の多い幼馴染の四五、テンション高いラビはともかく、
アリスと春は今のところあまり活躍できていません。
メイドさんの方がまだ目立っていたぐらいです。
とはいえまだまだ物語は序盤ですし、今後の活躍に期待。
物語の鍵となるであろうアリスはともかく、
春はどう生かしてくるのか気になるところですね。

あと細々と気になったところ。
日常テキストはシモネタ多めでしたけど
物語の流れを阻害するほどではないちょうどいいバランス。
ヒロインの貧乳、巨乳が半々というのもバランスがいい。
四五の薀蓄ムービーは新鮮な演出ですね。
ダラダラ喋られるよりは薀蓄に興味が持てます。
主人公の科学への逃げ腰な姿勢はイラッとさせられますけど、
タイムスリップという異常事態への適応力は高めなので
読むのが苦痛というほどではなかったです。


まとめ。
素直に先が気になる作品でした。
こういうタイムスリップ系の作品といえば
初手から壮大な設定を感じさせるものが多いのですが、
この作品はニュートンという着眼点が新鮮でしたし、
そこから話を丁寧に広げているところも好感を持てます。
このまましっかり広げてしっかり畳んでくれればいいのですが…。

ここ最近の体験版はあまり惹かれる物がなかったのですが、
久々に気になる作品に出会えてちょっと嬉しかったり。
今のところ4月の有力候補です。

テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第49話 感想
『マクギリス・ファリド』

オルガ、普通に見張りに殺されたっぽい。
これ完全に油断して姿を晒したオルガの失態っすね…。
オルガの死に直面しても落ち着いている三日月。
少しは動揺するかと思ったけどそこまで柔じゃなかったかー。
普通ならここで動揺して立て直すまで数話使いそうですが、
これでもブレないというのが三日月の個性でしょう。

地上では鉄華団基地への総攻撃が開始された頃、
宇宙でもマッキーがラスタル艦隊への突撃を開始。
マッキーはこの期に及んでも諦めていないどころか、
むしろ単機でラスタルを討つことに燃えている様子。
たった一人の力でも世界を変えられることを証明することで
虐げられている者たちに希望を与えるというその考え、
理解できなくもないですが、その先にあるのは修羅の国。
今の世界に満足する者たちには受け入れられない考えです。

そんなマッキーの前に立ち塞がるのはやはりガエリオ。
二人の因縁もいよいよ決着の時か。
一方、地上ではハッシュが死にそうに。
いや機体が爆発してないので生き残る可能性もありますが、
最近の流れを見ていると死んでそうな気がします。
しかしハッシュがやられたとき三日月がちょっと焦ってるの、
最初と比べて随分仲良くなった感があって良いですね…。

バエルVSキマリスの一騎打ち。
今まで大人の汚い強さを見せ付けてきたラスタルも
この戦いは見守る構えのようで、二機は激しく激突します。
アインの力を持ってしても押され気味だったガエリオですが、
機体のダメージを考えない無茶な攻撃によって
戦いの流れは徐々にガエリオ側に傾いていきます。
はぁー、お互いの機体がボロボロになっていくのたまんねぇ!
そして最後は両機体ともに大破と。
久々にいいロボットバトルを堪能させて頂きました。

気体を捨てて脱出したマッキーの前にガエリオが。
仮面が銃弾を弾くシーンはちょっとギャグっぽいなぁ。
でもマッキーとガエリオのやり取りはちょっと泣けました。
マッキーがガエリオやカルタと一緒にいるときを
本当に心地よく感じていたというのは切ないですし、
ガエリオがマッキーを許しそうになるのもまた切ない。
この二人の関係は本当に好きだなぁ。

さて、後は鉄華団が何人生き残るかですが、
物語の盛り上がりとしてはちょっと苦しいか。
一応、地上にはジュリエッタが向かっているとはいえ
三日月とのバトルが今回ほど盛り上がるとは思えないですし、
どうにも消化試合的な印象が拭えません。
こういう予想を裏切ってくれるといいのですが…はてさて。

テーマ:機動戦士ガンダム 熱血のオルフェンズ - ジャンル:アニメ・コミック