2013/05/04

『B.A.D. 9 繭墨は人間の慟哭をただ眺める』 感想

B.A.D. 9 繭墨は人間の慟哭をただ眺める (ファミ通文庫)B.A.D. 9 繭墨は人間の慟哭をただ眺める (ファミ通文庫)
(2012/10/29)
綾里けいし

商品詳細を見る

B.A.D.9巻目の感想。

復讐のために暴走する久々津は雄介の居場所を
確かめるために小田桐君を拷問することに。
しかし頑固な小田桐君がたかが拷問ごときで
吐くはずもなく、逆に久々津の恋心を看破して
久々津の方が怯んでしまうという流れに。
うん、恋心なら仕方がないな。

相変わらずの良妻っぷりを見せる白雪さん。
男がアホなこと言うと殴ってくれるのはいいな。
再び自分の過去と対峙する雄介。
父を殺しても大事な人たちが戻るわけでもなく、
逆に殺したはずの父にも祟られるという始末。
ここに来て過去の復讐の結末を穿り返すのは
久々津の復讐と対比させるためなのか。

実は滅茶苦茶可愛い人だった舞姫さん。
そうなんだよね、言い方にトゲはあるものの、
基本的には悪い人じゃないんですよねこの人。
騎士と姫のハッピーエンドの話は最初皮肉かと
思いましたけど、本気で好きだったんだなぁ。
分かってくるとホント可愛い人だ。

狐は戦意喪失したままではあるものの、
それ以上に厄介な初代様が表に出てきました。
しかし何事にも距離を置く繭さんと比べて
初代様は享楽的で小者に見えてしまうなぁ。
ラスボスとして能力的には問題なくても
人格的にはカリスマ不足な気もします。

小田桐君が自分自身の行動で復讐を否定し、
久々津もひとまずは復讐を諦めた様子。
久々津は舞姫にあれだけ愛されてるんだし
これ以上望むのは罰が当たるってもんでしょう。
雄介は一気に小田桐君にデレたなぁ。
白雪さんと同じぐらい愛してるんじゃないの。

久々にハッピーエンドで終わった今回。
しかし初代様に再生された左腕のことを
繭さんが見抜けなかったということは、
やはり力だけなら初代様の方が上なのかな。
物理攻撃はともかく異能の強さで繭さん以上の
存在が現れたのは初めてだったっけ。

という流れで最終章へ続く。
果たして繭さんがデレる日は来るのだろうか。
2013/04/04

『アークⅨ 1 死の天使』 感想

アーク9 1 死の天使 (講談社ラノベ文庫)アーク9 1 死の天使 (講談社ラノベ文庫)
(2013/02/01)
安井 健太郎

商品詳細を見る

「ラグナロク」のヤスケンさんの久々の新作。
「ラグナロク」といえばラノベ好きなおっさんでは
知らない人がいないぐらいの有名作品でしたねぇ。
私も今でも全巻持っていますし。
でもヤスケンさん、スニーカーとお別れしたようで
続刊が絶望的っぽいのが本当に残念で仕方がない。

さて、気を取り直して感想。

主人公は未来都市に生きる忍者探偵。
忍者探偵という設定には若干古臭さを感じたものの、
いざ読んでみるとアクションに次ぐアクションで
一気に最後まで読み切ってしまいました。
やっべー、忍術かっけー。ぶっ放してー。
印で設計して音声で起動というシーケンスが
オーフェンっぽいと思ってたら、秋田さん自身が
コメント寄せていたのには笑ってしまいました。
両作家さんともに私の青春直撃世代ですわ。

話の展開や血みどろバトルはラグナロクに比べると
ちょっと優しくなったような気がしなくもない。
まあ、キャラの耐久力はラグナロクより下ですし
あれほど無茶を出来ないので当然かもしれませんが。
いやそれでも骨とかバキボキになってますけど。
話に関しては、今回は死ぬのがモブばかりだから
それほどショックを受けないというのが大きいかも。
幼馴染に死亡フラグは回避できそうですし。
……できなかったらガチ欝作品ですが。

文章に癖があるせいかブランクのせいなのか、
序盤は少し読みにくかったのですが、中盤以降は
こちらが慣れたのか気にならなくなりました。
かつて売りだったアクション描写は今回も健在。
これだけよく動く小説はそうそうないかと。
こういうバトルラノベはもっと増えて欲しい。

次の巻はアニメ付きで初夏に発売とか。
ラグナロクが未完で終わってしまっただけに
今度こそ完結させていただきたいところですね。
2013/03/23

『新生徒会の一存 碧陽学園新生徒会議事録 下』 感想

新生徒会の一存  碧陽学園新生徒会議事録 下 (富士見ファンタジア文庫)新生徒会の一存 碧陽学園新生徒会議事録 下 (富士見ファンタジア文庫)
(2013/03/19)
葵 せきな

商品詳細を見る

世の中が面白いんじゃないの。
貴方が、面白い人間になれたのよ。

……ああ、なんというか、グッと来ました。
つまらない人間たちの成長物語に相応しい締め方。
これは実際に言われたら泣きそう。てゆーか泣く。

というわけで新生徒会の一存、下巻の感想です。
会長のつくし、副会長の水無瀬に続いて、
今回は書記の日守を勧誘するところから開始。
この娘が実は真冬ちゃん並みのダメ人間で
初っ端から杉崎は苦労させられることに。
まあ、いつものことではありますが。

テンプレを一回り派手にしたツンデレっぷりと
意味不明な諺が非常に面白い娘ですね。
とくに諺は毎回「ん?」と首を傾げてしまう。
でも基本的にツンデレなので扱いやすくはある。
この生徒会では常識人枠になるかなぁ。
腐ってますけど。
真冬ちゃんとのメールには噴いた。
リアルBLカップリングの話はやめろw

そしてラスボスである会計、火神。
前回ラストの「実は敵だった」展開は
今回できっちり回収されることになりました。

金持ちの愛人を母に持つためハーレムに対する
嫌悪感が人一倍というのは重い展開です。
確かに杉崎にとってはラスボスだわこれは。
まあ、女を泣かして平然としている火神父と
泣かせないためにハーレムを作ろうとしている
杉崎では似ているようで別方向なんですけど。

そしてデレた後のまさかのヤンデレ化。
うむ、デレてもハーレムにとっては天敵である。
いやまあ、めっちゃ可愛いんですけど、
全員攻略を目指す杉崎にとっては敵だよなぁ。
これもハーレム王の宿命だから仕方がない。

毎回奇跡的なボケを見せる会長、つくし。
勉学と毒舌が生きがいの切れ者副会長、水無瀬。
完璧な美貌と残念過ぎる頭脳を持つ書記、日守。
杉崎大好きなヤンデレ武闘派会計、火神。
そして主人公にして変態副会長、杉崎。
うむ、去年に勝るとも劣らない精鋭メンバーだ。

しかしラストを締めたのは我らが旧会長、くりむ。
会長の名言に始まり名言に終わる。
うむ、このシリーズの締めに相応しいと思います。
いやもう一冊出るんですけどね。

上下巻で4人を攻略するということで
若干、駆け足気味の展開ではあったものの、
その分、話のテンポは良くて充実感がありました。
うん、やっぱ大好きですわ、このシリーズ。
次の旧生徒会と新生徒会の顔合わせはすげー楽しみ。
2013/03/03

『B.A.D. 8 繭墨は髑髏に花を手向けない』 感想

B.A.D. 8 繭墨は髑髏に花を手向けない (ファミ通文庫)B.A.D. 8 繭墨は髑髏に花を手向けない (ファミ通文庫)
(2012/04/28)
綾里けいし

商品詳細を見る

B.A.D.8巻目の感想。

酷い結末を迎えた前回の続きからということで、
いきなりいい感じで狂っている雄介。
ヒルガオを失った雄介の絶望描写はヤバイ。
主人公らしく復讐を止めようとする小田桐くんが
本気でウザく感じられるほどの重さですわ。
お前の気持ちも分かる、は地雷ワードですね。
これ言ったら殺されても文句言えんで…。

七海は最初ヤンデレっぽい描写があったのに
すっかり強気系世話焼き娘が板に付いてますね。
危ない一面があると分かっていても
嫁に来て欲しくなるしっかり者ですよ。
それに対して相変わらず鬱陶しいあさと。
こういうようにダラダラと行き続けて物語を
引っ掻き回す悪役はあまり見ないなぁ。
一般小説ではたまにいるんですけど。

再登場した菱神ですが、正直存在感は薄い。
舞姫の引き立て役でしかないという印象です。
舞姫と久々津のキャラ立てはできましたけど、
菱神自身は前回で終わってた方が綺麗でしたね。

人買いの家での出来事。
なんだか繭さんが若干優しくなったような気が。
小田桐くんが結構病んでしまってるせいかな。
記憶を食べるのにもだいぶ慣れたようですし。
まあ、これだけBADエンド経験を積めば
良くも悪くも慣れるってもんでしょうけど、
それでも嫌なものは嫌なんだよなぁ。

雄介に殺されに向かう舞姫。
良し悪しはともかく彼女の矜持だけは認めたい。
生まれが違えば良い人になれたでしょうに…。

しかし結局舞姫を殺さなかった雄介。
とはいえ舞姫の足を叩き潰したことで
久々津の恨みを買い、決着は次巻へ持ち越し。
雄介にまともな思考が残ってるの分かったものの、
それ故に状況は悲劇的というか何というか。
あまりに悲惨な出来事が起こってしまうと
壊れてる壊れてない関係なく壊れたような行動を
取るしかない…というのは分からなくもない。
この無限ループから抜け出す方法はあるのか。
次巻に期待ですね。
2013/02/17

『B.A.D. チョコレートデイズ(1)』 感想

B.A.D. チョコレートデイズ(1) (ファミ通文庫)B.A.D. チョコレートデイズ(1) (ファミ通文庫)
(2011/01/29)
綾里 けいし

商品詳細を見る

B.A.D.外伝1冊目の感想です。
長さ的には短編集というより中編集かな。

○僕が「繭さん」と呼ぶ理由
胡散臭いビルで垂れ下がるたくさんの死体。
救世主を名乗る胡散臭い幽霊少女。
そして暴かれる小田桐くんの過去。
繭さんの性格の悪さから分かりやすい怪異の発生、
更に小田桐くんの腹にいる雨香まで登場するという
下手したら本編の1巻よりも1話っぽい印象でした。
短いながらも大事な部分は全部押さえています。
ただ「繭さん」という呼び名になった理由は軽め。
これで決めちゃう繭さんは繭さんらしいのですが、
大きな理由を期待しちゃうと拍子抜けかな。

○私が先輩に恋した非日常
珍しく割とほのぼのした話だった。
雄介は善にも悪にも転べる不安定さが魅力ですね。
そういう所が壊れていると言われるんでしょうけど。
梓がうざがられるのはちょっと分かるなぁ。
いじめっ子の言うことも一理ある。
いじめっ子のやり方の汚さはまた別ですが。
7巻では酷い結末を迎えた雄介ですけど
梓とならいい結末を迎えることが出来るのか?
今後が気になるところです。

○狐の生まれた日
コンプレックス塗れなあさとは人間らしいなぁ。
ここで素直に負けを認めることが出来れば
救われるんですけどそうも出来ないのが歯がゆい。
自分がないという生い立ちから発展していって
人の望みを叶えるのが趣味になるのは面白い。
本人が善意だと思っているのが性質が悪いですな。
それを感情移入させるように描写したのはお見事。
割と好きですわ、こういう捻くれ男。