2012/07/10

『プロメテウス・トラップ』福田和代 感想

プロメテウス・トラップ (ハヤカワ・ミステリワールド)プロメテウス・トラップ (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/02/05)
福田 和代

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かつてFBIのシステムに侵入しブタ箱行きとなった
元天才ハッカーを主人公が、今度はFBIの依頼を受け
サイバーテロ組織を追うという電子サスペンス小説。
やはり天才ハッカーという設定には心が惹かれます。
クラッカーよりも断然響きが良い。

単にテロリストを追うだけのストーリーではなく、
短編連作という形を取って各話で明確なネタを
扱っているところには構成の妙を感じますね。
空港の入国管理システムの突破から
最新のコンピュータ同士のチェス対決など、
この手のネタが好きならたまらないでしょう。

主人公、FBI、テロリストという三つ巴の状況も
緊迫感を出すのに一役買っています。
テロリストはもちろんなのですが、FBIの方も
いかにも裏がありそうで信用できないのはお約束。
そしてそんな先の読めない状況を主人公が持ち前の
ハッキング技術で切り開いくのが爽快なのです。

事件の真相自体はそれまでの流れを読んでいれば
分かる範囲に収めつつ、物語としての結末は
ちょっと意外な方向へ持って行ったのも面白い。
この主人公、このテーマで普通の終わり方だと
拍子抜けだったでしょうけど、そこは上手く
斜め上に持っていったという印象を受けました。

この手の専門的な小説だと説明文ばかりに
なってしまうことも多々あるのですが、
この小説では面倒な説明はサラッと流しつつ
ハッカーとしての業の描写を重視していたので
キャラへの感情移入がしやすかったです。

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