2012/07/01

『光あれ』馳星周 感想

光あれ光あれ
(2011/08)
馳 星周

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美浜原電の警備員として働く主人公の
目を通して敦賀という小さな町を描く一冊。

タイミング的にはどうしても3.11地震後の
原電騒動を思い出してしまうのですが、
特に原発反対運動小説というわけではなく
寂れた敦賀という街を描くのがメイン。
もちろん原発や反対運動のネタは多いですが、
あくまで敦賀の日常の一部という扱いです。
住人が癌で死んだ際に原発と関係がなくても
原発のせいみたいに言われるという描写は
逆風評被害みたいに見えて興味深かった。

主人公も原発自体にいい感情はないものの、
それ以上に原発にくっついた敦賀という
田舎街自体を嫌悪しているという書かれ方。
田舎を嫌悪しつつそこでしか生きられない
自分をも嫌悪し続け、突然暴走してしまう。
ここら辺のイライラした感情の書き方は
馳さんにとっては手馴れたジャンルであり
今回も非常に共感しやすい描写でした。

私自身、敦賀とい街は何度か訪れたことが
あるのですが、まず目を引くのが駅前にある
広大なシャッター通りなんですよね。
下手な県庁所在地より店舗数が多いのに
それがほとんど閉まっていますし、
人も少なくて昼間なのに怖いぐらいです。
あそこを一度でも訪れたことがある人なら
この小説全体から漂う寂れた雰囲気にも
共感できるものがあるのではないでしょうか。

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