2012/06/21

『煬帝』塚本青史 感想

煬帝(下)煬帝(下)
(2011/01/26)
塚本 青史

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隋の煬帝の駄目っぷりを書いた歴史小説。
煬帝といえば遣隋使関連で教科書にも
出てきますし日本でも割と有名な人ですね。
でも暴君とまでは書いてなかった記憶も。
ここら辺をもっと突っ込んで教えれば
学校の教育も盛り上がりそうな気がします。
それはそれで教育上よろしくないですが。

少年時代は感受性に優れ聡明だった煬帝。
しかし父による帝位簒奪や兄との政争を経て
自分が皇帝になってからは気遣いを忘れ、
あれほど軽蔑していた暴君たちと同じ行動に
走るようになる姿は何ともやるせないです。
上に重石がないとこうも弾けちゃうものなのか。
主人公とはいえ容赦なく耄碌させている点は
実に塚本さんらしく、この何とも言えない
後味の悪さは逆に癖になりそうな作風です。

まあ少年の頃は賢かったとはいっても
いきなり未亡人にハァハァしてたりしますし、
性根の歪みっぷりだけは揺るぎないですが。
しかし歪んでるとはいえ殺した相手の悪夢に
うなされたり、たまに人を哀れんだりと
徹頭徹尾鬼畜になれないところは小物っぽい。
歴史に名を残す暴君を小賢しい凡人として
書いているという点で面白い小説でした。

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