2012/06/19

『実朝の首』葉室麟 感想

実朝の首 (角川文庫)実朝の首 (角川文庫)
(2010/05/25)
葉室 麟

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鎌倉幕府の三代目将軍である実朝。
彼が甥の公暁によって討たれたのは有名ですが、
この本ではその首を中心にして鎌倉内での
権力闘争や朝廷との駆け引きが描かれています。

私自身はここら辺の時代に詳しくないのですが、
作中での説明が分かりやすかったせいか、
知らない名前が出て来ても戸惑うこともなく、
サクサクと読み進めることができました。
といっても幕府の有力御家人の名前ぐらいは
知らないと厳しい気もしますが(どっちやねん

ただ、ある程度知識がある人にとっては
話の内容自体は非常に分かりやすい流れで、
かつて権力闘争に敗れた和田家の残党が
実朝の首を奪って幕府に一泡吹かせようと企み、
そこへ復権を狙う京都勢力暗躍するという
シンプルな陰謀合戦の様相を呈しています。
まあ勢力図はシンプルでも中身は複雑ですが。
権力闘争ってほんまドロドロやで。

北条氏による源氏狩りや鎌倉源氏に対する
京都源氏の暗躍、更には後鳥羽上皇と
北条政子の駆け引きなど、今までなんとなく
ありそうだと思っていたことをどんどん
文章にしてくれるのは読みやすかったです。
しかしその反面、視点があちこちに飛ぶので
作品としてはちょっと落ち着きがなかった印象。
最後の方で種明かしされる実朝の心情も
「うーん…」という感じでインパクト薄め。
いっそそれぞれの視点を完全に独立させた
短編連作の方が似合っていた気もします。

とはいえ、書かれていることには今まで
知らなかったネタも多く、この時代について
ちょっと調べたくなるような一冊でした。

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