2012/06/13

『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』篠田節子 感想

はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るかはぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか
(2011/07)
篠田 節子

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タイトルは言わずと知れたアレのオマージュ。
篠田節子さんといえば私的にはホラーや
ミステリーの印象が強い作家さんなのですが、
この作品はタイトル通りSF色の強い一冊です。
SFといってもその舞台は現代日本に近く、
短編集ということもあってSF初心者でも
手軽に読める内容になっていたと思います。

「深海のEEL」はレアメタルを含んだ鰻に
振り回される企業を面白おかしく描く物語。
一時に比べると報道も落ち着いてきた
レアメタル問題ですが、依然として世界的に
重要な問題であるのは確かなんですよね。
なんか最近忘れられかけてますけど。

「豚と人骨」ではマンションの建築現場で
発見された不可思議な白骨の謎を追います。
地主や建設会社、区役所に研究所といった
面々が遺跡一つに振り回される姿が面白い。
太古からの贈り物というのもSFとしては
王道なネタなのではないでしょうか。

「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は
元ネタと同じように人工知能についての話。
舞台を現代にして規模を小さくしたことで
サクッと読める内容になっています。
ただ、タイトル的にはインパクトがあるので
表題作にしたい気持ちは分かるのですが、
内容としてはシンプル過ぎた気もします。

ラストの「エデン」は心情描写メイン。
エデンというのが機械文明が溢れている
現代社会のことなのか、はたまた
社会から隔離された閉鎖社会のことなのか。
登場人物の掘り下げ方が一番深かったのは
この作品だと思うのですが、「エデン」では
本のタイトルとして地味過ぎたかも。
やっぱり「はぐれ猿」をタイトルにするのが
一番無難だったのかもしれませんね。

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