2012/03/20

『虚けの舞―織田信雄と北条氏規』伊東潤 感想

虚けの舞―織田信雄と北条氏規虚けの舞―織田信雄と北条氏規
(2006/02)
伊東 潤

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織田信雄、北条氏規を題材にした一冊。
秀吉により酷い目に合わされた織田家と北条家の
生き残りという共通点から話を広げています。
この本では両者が既に秀吉の配下になっている
時点から始まりますが、ここに至るまでの経緯は
同作者さんの他の作品で書かれているので
そっちを読んでからだと色々と感慨深いですね。

この本での織田信雄は世間一般の印象の通り
徹底的に凡人として描写されているのですが、
本能寺の変以降の状況についていけない様子が
実に丁寧に書かれているので共感してしまいます。
信長の後継者になれる可能性があったのに
オロオロするばかりなのは愛嬌すら感じるぐらい。
そしてそんな凡人の彼が血を絶やさないために
歯を食い縛って耐える様が男らしいんですよね。

北条氏規の方は北条贔屓な伊東さんらしく
非常に有能な人物として書かれています。
私の場合、今まで北条好戦派の本はいくつか
読んだことがあるのですが、和平派について
詳しく読むのは初めてなので興味深かったです。
確かにこの人が当主なら後北条も大名として
生き延びる可能性があったのかもしれない。

こういった滅ぼされた側の二人の人物の視点から
豊臣家の滅亡を書くという構成も面白いです。
結果的に細々とではありますが織田家と北条家を
残せた二人と、豊臣家を残せなかった秀吉。
こうして見ると落ちぶれた信雄と氏規の人生も
そう悪くなかったのではと思えてくるのが不思議。
私としては露と消えた豊臣家も好きですけどね。

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