2012/02/09

『地の鳥 天の魚群』奥泉光 感想

地の鳥 天の魚群地の鳥 天の魚群
(2011/09)
奥泉 光

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奥泉さんの中編一本、短編二本が入った一冊。
表題作でもある中編は奥泉さんの幻のデビュー作。
後書きでも語られていますが30年ぶりにひょっこり
書籍化されるとはご本人も思っていなかった様子。
世の中、何が起こるかわかりません。

平凡な中年男性である石脇氏の周りに出現する
鳥の脚や謎の人物Kといった幻想的な要素と、
息子の宗教団体入りや娘の学校トラブルという
妙にリアルな社会的問題が交互に進むことで
読んでいてなんだか気持ち悪くなってくる本作。
幻想パートでは奥泉風の味付けを堪能できる反面、
現実パートは当事社会問題化していたものを
手当たり次第に詰め込んでいるという感じで
全体を見ると洗練されてない印象もあるものの、
若さゆえの勢いのようなものも感じられました。

問題を詰め込んだと評した日常パートですが
現代人としては身近にある現実的な風景で、
そこと幻想が結びついている様子を見せられると
自分の周りの現実まで曖昧になってくるような気が。
地面から生える鳥の脚と天を舞う魚群の対比は
シンプルなだけに想像しやすい風景だと思います。

正直、下手なホラー作品より怖く感じたのですが、
それでもよく分からないまま読まされる作品でした。

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