2011/11/03

『子産』宮城谷昌光 感想

子産(下) (講談社文庫)子産(下) (講談社文庫)
(2003/10/15)
宮城谷 昌光

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またまた宮城谷さんの宰相小説の感想です。
今回の主人公は春秋時代の名宰相である子産。
同作者の「晏子」とはほぼ同時代に当たるため、
二つ纏めて読んでみるのも面白いかと。

今までの宮城谷さんの作品の中では、面従腹背を
繰り返す信用出来ない国として書かれていた鄭。
しかしこの作品の中の鄭は小国として大国に
翻弄され続ける悲哀を重点的に書いているせいか、
これまでとはまったく違った一面を見せてくれます。
これだから歴史小説は面白い。

タイトルは「子産」となっていますが作品としては
群像劇としての色が濃く、誰かが主役というよりは
鄭の首脳陣全体が主役という印象を受けました。
実際、物語の前半は切れ者の宰相である子駟や、
子産の父である子国が主人公と言っても過言ではなく、
鄭という国が何故迷走することになったのかという
過程をしっかり見せることで、それを見て育った
子産の考え方にも説得力が出るようになっています。
しかし子国の死に様のかっこ良さは異常。
宮城谷さんは親父を美化し過ぎている感はありますが、
私はかっこいい親父って大好きなので嬉しいです。

後半は子産を擁護し続けた子皮の男気が光ります。
改革を断行した子産ですが、それができたのは
最高権力者であった子皮からの絶大な信頼のおかげ。
優秀な人材を見抜き、彼らが力を振るえるように
推薦するのが本当の賢人だというのにも納得です。

大国に挟まれた鄭が大国の都合に翻弄される様子は
現代の日本の状況に似ているような気もします。
この難しい状況だからこそ、子皮や子産のような
傑物が求められているのかもしれません。

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