2011/10/26

『沙中の回廊』宮城谷昌光 感想

沙中の回廊〈下〉 (文春文庫)沙中の回廊〈下〉 (文春文庫)
(2004/12)
宮城谷 昌光

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宰相物を数多く出している宮城谷さんの
今回の主人公は晋の名宰相・士会です。
時代的には「介子推」と「晏子」の間に当たり、
3作並べて読むと時代の流れを強く感じられます。

多くの宮城谷作品と同じく、今回の士会も長々と
雌伏の時を過ごし最終的に大成するという流れ。
もちろん士会の人格も素晴らしいのですが、
それが形成されたのは周囲の人々の素晴らしさが
あったからこそというのが感慨深いです。
士会だけでなく周囲の人物の描写にもかなりの
文量が振り分けられているため、特定人物というより
この時代全体を描いていると言えるかもしれません。
敵国からの亡命者である士会を抜擢した秦の康公、
春秋五覇の一人である楚の荘王も大器ですし、
この時代は主君も宰相も綺羅星の如く人材が
揃っていて、小説のネタには困らないんでしょうね。

しかし亡命した先の国で評価されてから
元の国に引き抜かれるというのは珍しいですね。
この時代が優秀な人材の取り合いだったというのを
実感させてくれる一生ではないでしょうか。
戦争が人を育てる…とは必ずしも言えないですが、
そういう一面も確かにあるのかもと思ったりしました。

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