2011/07/30

『飢餓島記』吉谷淳 感想

飢餓島記飢餓島記
(2005/07)
吉谷 淳

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こういう作品だとは思わなかった。

一応、内容的には第二次世界大戦物ではあるのですが、
出征した瞬間に戦争が終わりその後の捕虜生活がメイン。
終戦処理のゴタゴタで捕虜に食料が回らない状態での
サバイバル生活を面白おかしく書いています。

いや、基本的には暗くて重い話のはずなんですが、
何故か唐突にギャグっぽい話が挟まれるんですよね。
食糧不足による栄養失調や上司の物資横領など
戦後の問題をシリアスに書いているかと思ったら
蚊帳子(蚊帳の名前)や浣腸の話はかなり馬鹿ですし、
こういう変なギャップがこの作品の良さじゃないかと。

タイトルからして食料のない極限状況の話かと思いきや、
魚や蛇を食って意外とまったり生活していたのは驚き。
地の文でこれは物語のような都合のいい島じゃないとか
言ったかと思ったら普通に色々と見つけて食ってますし。
まあ各エピソードは面白かったので問題ないですが。

ただ、基本的には負けても明るさを忘れないように
生きようという作品でありながら、人があっさり死んだり
殺されたりするところにはこの時代の怖さを感じたり。
深読みしようとすれば色々深読みできる面白い作品でした。

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