2011/06/03

『朱元璋 皇帝の貌』小前亮 感想

朱元璋 皇帝の貌朱元璋 皇帝の貌
(2010/11/03)
小前 亮

商品詳細を見る

明の太祖である朱元璋を主人公にした一冊。
内容は彼が農民から皇帝の座に着くまでの期間に
絞っているため、王道の立身出世物という雰囲気。
常に貧しいものの味方であり続け、最後は皇帝まで
のし上がっていくその姿は爽快感があります。

ただ、彼の晩年の大粛清を知っていると
手放しで喜べない内容であることも事実でした。
今回の作品はあからさまに描写期間を絞っているので
朱元璋のボロがほとんど出ないうちに終わりますが、
それでも文人に対する冷たさは感じられますし、
仲間達との決別を予感させるシーンも多々あります。
どうせなら朱元璋が死ぬまで書いて欲しかったですね。

小前さんの過去作である「王道の樹」もそうでしたけど、
主人公の晩年の迷走が省略されるのは物足りません。
同じく過去作である姜維伝で姜維が非才なりに死ぬまで
足掻く姿は良かったですし、不様なりに生き抜く感動も
書ける作者さんだと思うだけに惜しいです。

コメント

非公開コメント

同感です

「朱元璋 皇帝の貌」の書評を読ませていただきました。
私も主様と同意見です。朱元璋の人生は晩年の大粛清があって、初めて完成するものだといもいます。
そこの部分を作者に書いて頂きたかったです。

Re: 同感です

コメントありがとうございます。
貧農から皇帝へ上り詰めた朱元璋は間違いなく傑物なんでしょうけど、
大粛清に走る闇を抱えているところもまた魅力なんですよね。
こういう精神の転調は小説として非常に美味しい素材だと思うのですが。

統一編・粛正編と2巻に分かれていればより楽しめたかもしれません。