2011/04/08

『信長が宿敵 本願寺顕如』鈴木輝一郎 感想

信長が宿敵 本願寺顕如信長が宿敵 本願寺顕如
(2005/10)
鈴木 輝一郎

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実はこの本を読むのは二回目です。
タイトル通り、本願寺顕如を主人公にした歴史小説。
しかし歴史小説という割には史実を重視しておらず、
顕如とその息子教如、転じて将軍義昭と改革者信長という
新旧思想の対決がメインテーマになっています。
歴史を学ぶにはアレンジが多過ぎる内容ではあるものの、
生き生きとした人物描写や古いものと新しいものの比較、
そして対決といった内容は小説として十分に楽しめる内容。
そろそろいい年になってきた私にとって、徐々に新しい勢力に
押されていく顕如や義昭の姿は他人事とは思えません。
それだけに最後、「ふるいことは、わるいことではない」と
結論付けてくれたことには少し救われた気分になりました。
もちろん、この言葉に甘えて逃げないこと前提ですが。

しかし相変わらず鈴木さんの書く主人公はいいですね。
本作の主人公である顕如にしても仕事は出来るし人柄は
穏やかで人望もあるのですが、その反面家族に対して
関わる時間がなく、そこを責められると仕事があるから
仕方がないと言い訳に走るところは現代のサラリーマンぽい。
定番ですが長所と短所がはっきりしてるのは好感が持てます。
対する信長にしても理路整然としていて自分の道をどんどん
突っ走っていくのは魅力ですが、嫌いな相手に対しては
小者臭いほど陰険な手段を使うところがまた面白いです。

今回は昔ながらのやり方を重視する顕如が改革に走る教如や
信長に押される内容でしたが、同作者の「信長と信忠」では
逆に信長が追い詰められていく様子が書かれています。
この二冊はセットで読んでみるとより楽しめるかもしれません。

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