2011/03/25

『有村ちさとによると世界は』平山瑞穂 感想

有村ちさとによると世界は有村ちさとによると世界は
(2010/08/18)
平山 瑞穂

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「有村ちさと」と彼女の周りの人々を描いた短編集。
4つの短編を父親・騏一郎、上司・村瀬瑛子、妹・ももか、
主人公・ちさとの視点から書くことによって、
ちさとを取り巻く世界を構築して見せるという感じでしょうか。
いずれの人物も小物っぷりが割としっかり書かれているので
読んでいてイラッと来るシーンが結構あったりしますが、
最後に近付くにつれてそれが綺麗に反転するのが面白いです。
一応、前作があるらしいですがそちらを読まなくても
普通に楽しめる内容になっているのではないかと。
私も読んでませんし。

以下短編ごとの感想。

・青い草の国へ
脳内相棒と会話する可哀想な人が主人公な割に読後感が
非常に爽やかで、上手いこと作ってるなーと感心しました。
いや、私が普段から読んでる本だと大抵は妄想に溺れて
殺したり殺されたりみたいな方向へ行っちゃうんですよね。
読んでる本が偏っているせいですが。
最後で煙に巻くオチは嫌いじゃない、というかむしろ大好き。

・オズのおまわりさん
話の仕掛け自体はライトな推理物という感じで
特に意表を突かれるということはなかったのですが、
ラストの息子とのやり取りにはやられました。
こういう「生意気言いやがって」みたいなシチュを
一生に一度ぐらいは体験してみたいもんです。

・おんれいの復讐
うーむ、個人的にはももかのような人間はアウト。
正直、あまりお近づきになりたくないタイプです。
ただ、それが妹となるとそうも言っていられず、
しょうがないなぁと思いつつも手を差し伸べてしまう
絶妙なキャラになっているのがちょっと悔しいです。

・前世で逢えたら
ちさとが得た新しいプロコトルのお話。
ちさとという人物は何事も白黒はっきりつけ過ぎるタイプで
付き合っていると非常に疲れそうだったんですが、
ここに来て少しだけ曖昧さを受け入れたことにより
人間としての魅力が一気に開花したように感じられました。
溜めて溜めて溜めてドカーンみたいな。
ここら辺は構成の妙ですね。

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