FC2ブログ
2020/02/16

『兵』木下昌輝 感想

兵
posted with amazlet at 20.02.16
木下 昌輝
講談社
売り上げランキング: 140,420

戦国時代の様々な人物を主人公にしつつ、
その合間に「日本一の兵(つわもの)」を探す
道鬼斎の物語を差し込んで一本の物語とした短編連作集。

どの話も木下さんらしく、意外性を持たせつつ
綺麗に纏まっている感じだったのですが、
個人的に一番面白かったのは「兵」という本筋から
少し離れる安国寺恵瓊の話、「怪僧恵瓊」ですね。

関ケ原での敗北者であった恵瓊の真の狙いと、
それを踏まえて関ケ原の合戦を見ると
がらりと状況が変わって見える構成はお見事でした。
我々はその後に来る豊臣家滅亡、江戸幕府誕生の流れを
知っているから偉そうに分析できますけど、
確かに合戦の状況を見ると別の未来もあったのかも。

あとはタイトルが回収される「日ノ本一の兵」ですね。
真田信繁の鬱屈には共感できる部分もありますが、
それはそれとしてこういう後ろ向きな男が報われないと
「ざまぁ」と思ってしまうのもまた事実。
悪人でも前向きな男なら爽快感がありますが、
この作品の信繁はひたすら後ろ向きですからね。
日本一の兵を討ち取ることを目指した信繁が
一番皮肉な形でカウンターを食らう展開は痛快でした。

爽快感のある作品もあれば重い結末の話もありましたが、
いずれも戦国時代の兵の姿を見事に描いていたと思います。

コメント

非公開コメント