FC2ブログ
2019/12/01

『消えた断章』深木章子 感想

消えた断章
消えた断章
posted with amazlet at 19.12.14
深木 章子
光文社
売り上げランキング: 579,995

10年前の誘拐事件を題材にした推理ゲーム的推理小説。

推理小説は大なり小なりゲーム的ではあるのですが、
この小説では探偵役である大学生がほぼ自分で調査せず、
たまたま仲良くなった都合のいい警察官が
警察内部の捜査情報をどんどん流してくれるので
大学生が推理ゲームをしている感が強かったですね。

事件の内容自体は面白いです。
子供が誘拐されて電話がかかってきた際に
身代金の支払いを即答で断る場面を冒頭に持ってきたのは
掴みとしては見事ですし、非常に上手い構成ですね。
後から判明したもう一つの誘拐事件が鍵となって
少しずつ昔の事件の謎が解けていくという流れもグッド。
トリックも定番のネタを使いつつ上手く捻っていましたし、
謎解きパズルとしてはレベルが高いと思いました。

一方でキャラクターの魅力は非常に乏しいです。
まず主人公である大学生は探偵役としては力不足。
唯一の個性といっていいのが元刑事の祖父を「じいじ」と
呼ぶことですが、これはもう単純に気持ち悪かったです。
妹や祖父にしてもこれといった個性がなく、
推理合戦も淡々と進む感じでいまいち盛り上がらない。
事件の作り自体は複雑で面白かっただけに、
このキャラクターの弱さが惜しいと思いました。

コメント

非公開コメント