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2019/08/26

『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』松嶋智左 感想

虚の聖域 梓凪子の調査報告書
松嶋 智左
講談社
売り上げランキング: 341,900

甥の自殺の調査をその親である姉から依頼された
中年女探偵が泥沼にはまっていくミステリー小説。

いやー、これはなかなか重い作品ですわ。
まず主人公と姉のヒステリックさがしんどいです。
姉は息子を失った姉の気持ちも分かる…
なんて言葉が消し飛ぶぐらいやかましいですし、
主人公もすぐカッと来る性格で一歩も引きません。
この二人が顔を合わせるシーンはひたすらしんどい。

調査パートについては謎が謎を呼ぶ展開で面白いです。
生徒のプライバシーを盾に非協力的な学園に対して、
個人攻撃に近いほど生徒の私生活に密着して
情報を引き出すというのは珍しい展開でしたし、
学園内に潜む謎と甥の本当の親の謎が絡み合って
甥の死の真相を隠すという構成もお見事でした。

しかしそこから導かれる結末がこれまたきっつい。
最終章でじわりじわりと新たな真相が明らかになり、
全てが明らかになって読者がこれで終わりか…
と思ったところで読者を突き落とす。
真相を明かすだけなら最後の1ページは不要ですし、
実際そこで終わる作品は多いと思うのですが、
この作品はしっかり叩き落してきましたね。
お陰様で読後とても憂鬱になった反面、
やりやがったな!という爽快感も少しあったり。

最後まで救いのない話ではあるものの
そこへ繋がる流れは丁寧に描写していましたし、
謎解きも面白かったので鬱系ミステリーとしては
ナイスな作品だったと思います。

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