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2019/08/01

『歌え、汝龍たりし日々を』岩井三四二 感想

歌え、汝龍たりし日々を 始皇帝紀
岩井三四二
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秦による天下統一とその滅亡を描いた歴史小説。

物語の大半は李斯視点で進みますが、
その他にも陳勝や趙高、荊軻に蕭何など、
ちょこちょこと視点が変わるシーンもあります。

ベテラン岩井さん読みやすい文章で
秦の躍進と滅亡という時代を普通に書くだけで
十分面白い作品ではあるのですが、
この時代を描いた作品としては新鮮さは薄めでした。
始皇帝の有能だけど情が薄いという人物像も定番。
かつて李斯が韓非子を陥れて閉じ込めた牢屋に
李斯自身が入ることになるのは良かったですが…。

中途半端に視点が変わったのも物足りなさの原因か。
陳勝や荊軻の話はそれなりに面白かったのですが、
李斯の話と比べるとおまけのようなものですし、
視点が変わることでとっちらかってしまった印象です。
これなら最初から最後まで李斯視点で進んだ方が
一つの物語としてスッキリしたかもしれません。
李斯が死んだあとに秦が滅ぶまでの描写も
エピローグというには長過ぎて蛇足感が凄かった。

岩井さんにしては珍しい中国歴史小説ですが、
ちょっと無難に走り過ぎたかなという感想でした。

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