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2019/07/18

『しゃらくせえ 鼠小僧伝』谷津矢車 感想

しゃらくせえ 鼠小僧伝
谷津 矢車
幻冬舎 (2016-05-26)
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江戸時代に活躍した盗賊、鼠小僧の物語。

鼠小僧といえば義賊として有名ですが、
この作品の鼠小僧は小悪党として描かれています。
極悪人というわけではないのですが、
お金がなくなればあっさり盗みに走りますし、
自分の手で人を殺すのは躊躇うものの、
人殺しへの加担にはそれほど抵抗がない。
義賊扱いされるようになったのも
たまたまお金をばら撒いてしまっただけというオチ。

そんな小悪党として描かれている鼠小僧ですが、
その弱さに共感してしまうのは自分も弱いからか。
運悪く職を失い収入を絶たれた場合、
盗みぐらいなら…と思う人はいるでしょうし、
だからこそ当時鼠小僧が持ち上げられたのでしょう。

とはいえ所詮は悪人なので処刑されるわけですが、
最後の最後で盗みによって繋がった人たちが
差し入れをしてくれたこともあって、
読後感は思ったよりも爽やかでした。
これが流されるままに盗賊になって皆から嫌われて
終わりだったら流石に後味悪過ぎでした。

どんな理由があっても犯罪者に慈悲はないという
考え方の人には合わない作品ですが、
例え犯罪者であろうと一人の人間だと思える人なら
また違った想いで楽しめる作品ではないでしょうか。

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