FC2ブログ
2019/06/09

『完璧なる水晶・葉山編』五條瑛 感想

Perfect Quartz 完璧なる水晶・葉山編
五條瑛
NextPublishing Authors Press (2018-10-13)
売り上げランキング: 114,088

久々の五條瑛さん、久々の鉱物シリーズですが、
久々過ぎてこれまでの作品の内容ほとんど忘れてるなぁ。
とはいえ、この作品は単品でも楽しめます。

今回扱っているのは某北の長男の暗殺事件。
現実でも起こったこの事件の裏で、アメリカや韓国が
どう動いていたかを描く作品となっています。
まだ記憶に新しい事件だけに夢中になれる作品ですが、
テーマがテーマだけに個人出版するしかなかったのかな。

読者は長男が暗殺される結末を知っているのですが、
この作品が始まるのはそこに至るまでの発端、
長男がアメリカに亡命を打診するところから始まります。
亡命の仲介を持ちかけられた主人公の葉山や、
韓国の若き財閥当主はこの歴史的事件を成功させるべく
手を尽くすわけですが、国家の命運を握る者たちは
違った思惑で動いていたためにあの結末に…。

興味深かったのは長男の重要性に対する認識ですね。
長男自身は自分が最高のVIPだと思っていましたし、
葉山、財閥当主も亡命が大事件だと思っていたものの、
各国首脳にとってはそうでもなかったのがこの物語の核。

もともと北朝鮮側は長男の暗殺を考えていていたものの、
既に国内の長男勢力は一掃されていることもあって
それほど積極的に暗殺する必要性はなかったはず。
しかし米中や欧州にとっての長男の価値を再検討した結果、
世界中が彼を庇護する必要がないという結論に達し、
それが暗殺への暗黙の了解になってしまったんですよね。
世界の中での自分の価値の変化というのは
この暗殺事件に限らず普通の会社勤めでもあることですが、
それに気づいて対応するのは案外難しいかもしれません。

最近、年をとってきたということもあって、
こういった時間の流れによる劣化を感じさせられると
他人事とは思えない危機感を覚えてしまいますね。
いや、こんな世界規模の話と比べるのもアレなのですが…。

コメント

非公開コメント