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2019/05/18

『地獄の犬たち』深町秋生 感想

地獄の犬たち
地獄の犬たち
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深町 秋生
KADOKAWA (2017-09-01)
売り上げランキング: 327,643

ボリューム的にも内容的にもずっしり重い暗黒小説。

主人公はヤクザ組織にスパイとして潜り込んだ警察官。
しかし海千山千のヤクザたちの信頼を得るため
残忍な殺戮を繰り返しているうちに、
次第に身も心も擦り切れていくことになります。

この主人公の描写がなかなか絶妙で、
最初は犯罪者を憎んで潜入捜査に参加したはずが
ヤクザたちとともに死線を超えていくうちに
仲間意識が芽生えていく流れが自然に描かれています。
最後にロクでもない結末が待っているとしか思いつつも、
先が気になってどんどん読み進めてしまいました。

実際ロクでもない結末だったわけですが、
むしろこの作品の場合はそれが心地よいですね。
これだけ殺しまくってハッピーエンドだと
それはもう後味悪かったでしょうし、
バッドエンドと言っても簡単に終わらせるのではなく
この先苦しみ続ける方向だったのもポイントが高い。

薄汚い殺し合いの中にもキラリと光る友情や愛情があり、
そういう美しさをしっかり見せつつも
ロクでもない地獄であるという主張は譲らない。
そんな作品が読みたいときにはピッタリな物語でした。

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