FC2ブログ
2018/10/06

『暗手』馳星周 感想

暗手 (角川書店単行本)
KADOKAWA / 角川書店 (2017-04-26)
売り上げランキング: 7,073

つい先日まで爽やかサッカー小説を読んでいたのに
次は八百長サッカー小説を読むのも読書の楽しみ方の一つ。

内容としては馳星周さんらしい血を血で洗う闘争劇ですね。
八百長を生業にする主人公がサッカー選手をはめたものの、
選手の姉に惚れてしまったせいで掌を返して
八百長組織のメンバーを殺しまくるという展開。

主人公は最初から最後まで身勝手なのですが、
徹頭徹尾自分のために行動しているので不快感は薄め。
前半はあれだけ周到に罠にはめたサッカー選手を
女に惚れたため掌返して守り出すという無茶な展開なのに
それが自然に見えるのは主人公の心理描写が上手いからか。
こういう行動をとった人物は最後に殺されるのが定番ですが、
この男はなんとか生き延びるところが良かったです。

といっても決してハッピーエンド的な意味ではない。
この男にとって死は救いでしかないですし、
何も手に入れられないまま生き延びて
更に死体の山を築く未来を想像させてくれた方が
この本のドロドロとした雰囲気には似合っているでしょう。
そこを外さない辺りは流石は馳星周さんだなと。

一度壊れた男がもう一度壊れていく様子を
疾走感と泥沼感溢れる文章で見せてくれる作品でした。
この男にはまだまだ地獄の底でのたうち回って欲しいですね。

コメント

非公開コメント