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2018/10/02

『黒い波紋』曽根圭介 感想

黒い波紋
黒い波紋
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曽根圭介
朝日新聞出版
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不祥事で警察をクビになったロクデナシが
とある政治家を脅迫するところから始まるサスペンス。

最初はこの元警察官・加瀬が主人公かと思ったのですが、
途中からは政治家一族の元汚れ仕事担当である
老人・貞次郎がメインになっていましたね。
このバトンタッチが自然だったのは人格の差のおかげか。
加瀬も抜け目ない小悪党でしたけど
それ以上に貞次郎の老獪さが魅力的でした。
加瀬の最期が若干唐突でも気にならなかったのは
興味が貞次郎に移ってたからでしょうね。

その貞次郎の生き方の複雑さも面白かったです。
先々代、先代の家族の一員として遇され
その恩を返すべく当代のダメ政治家に尽くすものの、
肝心のダメ政治家からは裏切り者扱いされる始末。
それでも主家のために人を殺そうとするぐらい
忠誠心が高かったものの、肝心のダメ政治家が
過去殺人を犯していたことを知ると見切りをつける。
この手のひら返しっぷりは、どんな忠犬にとっても
越えられない一線があることを雄弁に語ってくれました

特に大きな盛り上がりがあるわけではないのですし、
視点も状況もごちゃごちゃしているのですが、
加瀬の脅迫計画からそれに対する貞次郎の動き、
更に政治家一家内でのゴタゴタへと状況が流れるように
動くのでいつの間にか読み終わっていました。
少し寂しい終わり方ですが、それを覚悟の上で選ぶ
貞次郎の生き様は心に残るものがあります。

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