FC2ブログ
2018/08/01

『海道の修羅』吉川永青 感想

海道の修羅
海道の修羅
posted with amazlet at 18.08.01
吉川永青
KADOKAWA (2017-04-27)
売り上げランキング: 612,409

海道一の弓取りと謳われた今川義元の物語。

この物語の今川義元は頭脳明晰ながらも凄く短気。
周囲の状況にしょっちゅう切れそうになりながらも
そこを太原雪斎が上手く抑えることで今川を安定させ、
甲相駿三国同盟へと繋げていきます。

作中で雪斎は義元を天下人の器だと評していますが、
自分としてはそうは思えなかったですね。
確かに優秀な人物ではあるものの、
短気なところや策に溺れるところが多過ぎる。
人間としての器は雪斎の方が上でしょう。

ただ、雪斎にとって義元は息子のようなものですし、
贔屓目で見てしまったと思うとそう不自然でもない。
義元の方も雪斎の期待に応えようと焦り、
その結果が桶狭間だと思えば同情できる部分もあります。

物語としては面白く、兄弟相克の花倉の乱や
甲相駿同盟に至るまでの氏康、信玄との謀略合戦など、
あまり他の作品で書かれない部分が読めたのは良かった。
それだけに桶狭間の描写はがっかりでしたけど、
そこは前述したように焦りがあったのでしょうね。
修羅になろうとしてもなりきれない義元の姿に
どこか哀れさを感じさせられる作品でした。

コメント

非公開コメント