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2018/06/15

『家族写真』荻原浩 感想

家族写真 (講談社文庫)
荻原 浩
講談社 (2015-04-15)
売り上げランキング: 200,943

様々な家族の形を描いた短編集。

いやもう初っ端から泣かせに来てますねこれは。
妻を早くに失って男手一つで育てた娘がいよいよ結婚する…
という状況におかれたお父さんの話なのですが
心の中でいちいち亡き妻への語りかけるのがずるい。
それも重い語りではなく、妻の分まで人生を楽しもうという
前向きな心情が見えるところがより感動させてくれます。
「俺たち二人の娘が、嫁に行くぞ」は涙腺に来ました。

他には老化を認められない男や肥満を認められない男、
一戸建てに憧れる女などを描いたコメディ作品が多いのですが、
異色だったのはマネキンと家族になる男の話ですね。
孤独な男が拾ったマネキンと家族ごっこを始める話ですが、
これを爽やかな後味に仕上げているのはお見事です。
マネキンを使った精神治療、意外といけるのでは。
あと、しりとりの話は台詞だけだったのが新鮮でしたね。
前もこういう作りの話を見た気がしますけど、
何だったか覚えてないぐらい昔の話です。

最後はバラバラになった家族が再集結する表題作で締め。
写真屋という実家が嫌で飛び出した子供に残された子供。
そんな彼らが父が倒れたことによって再集結し、
昔は見えなかった実家の良さを再確認することで
父の写真屋を守り立てていくというストレートな内容。
今まで家族写真を撮ったことがない家族なのに
子供たちが成長してから始めて家族写真を撮るというのは、
家族関係がいい方向へ変化したことを感じさせる
これ以上ない演出だったと思います。

ハッピーエンドな家族ネタを読みたいならオススメな一冊。
切ないシーンはあるものの、それを前に進むバネとして
描いていますし、どの作品も読後感が爽やかでした。

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