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2018/06/07

『道誉と正成』安部龍太郎 感想

道誉と正成
道誉と正成
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安部 龍太郎
集英社
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南北朝時代初期の流れを北朝の重要人物・佐々木道誉と
南朝の重要人物・楠木正成を中心に描いた歴史小説。

護良親王によって見出された二人は協力し、
足利尊氏と後醍醐天皇を支えて倒幕を達成します。
しかし護良親王の失脚によって新政権に失望した道誉は
尊氏を支持して武家政権の復興を目指し、
一方正成は後醍醐天皇の否を諫言しつつも
最後まで後醍醐天皇方として奮戦することになります。

道誉と正成が敵対関係になってもお互いを認め合い、
特には協力して南北朝の融和を図るのはいいですね。
こういう敵になっても友情が続く展開は好きです。
道誉は敵対していても皇族を尊重していますし、
正成も後醍醐天皇に敵対する武士たちに共感している。
こういう二人の懐の深さが友情を持続させたのでしょう。
あと地味に千種忠顕がいい奴になっていくのが好きですね。
最初はザ・京都人という感じだったのに
最後の方は正成のために色々動いてくれますし、
こういう変化はよくある流れですけど大好物です。

面白かったのは同じ作者が書いた新田義貞の話と比べて
登場人物の扱い方がまったく違っていたこと。
新田義貞は主人公だったときには勇猛で真っ直ぐな
熱血漢だったのですが、今回は優柔不断で
周囲からの評価も低いダメ大将として描かれています。
足利直義も前は真面目な苦労人だったのが、
今回は汚い冷血漢の嫌われ者という扱いでした。
ここまで描写が変わるとなると、同じ人物が他の作品では
どう扱われているのか、もっと知りたくなりますね。

鎌倉時代から室町時代へ変化する混迷の時期に
武家と公家の間で板挟みになりつつも足掻き続けた
二人の大将の物語を、しっかり楽しめる作品でした。

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