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2018/05/16

『義貞の旗』安部龍太郎 感想

義貞の旗
義貞の旗
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安部 龍太郎
集英社
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足利尊氏のライバルとして名高い新田義貞の物語。

この作品の義貞はザ・主人公という感じの人物で、
直情型でありながらも正義を重んじ、
自分の意思を貫き通し典型的な主人公タイプ。
出自は貧乏御家人ながらも、その愚直な性格で
少しずつ周りの信頼を得て仲間を増やしていきます。

この義貞の人物像は分かりやすかったのですが、
義貞以外の人物はというとかなりあっさり描写でした。
尊氏や直義は一応ライバルっぽい扱いはされているものの
お互い深い感情を抱くことはなかったですし、
味方である楠正成などにしても妙なほど扱いが軽い。
折角面白い時代なんですから義貞の恋愛描写を入れるより
他の群雄の扱いに力を入れて欲しかったですね。

義貞の最期についても越前に向かった後は
地の文1ページだけで終わらせたのは物足りない。
ここは無念の死にしても満足しての死にしても
しっかりと描写して欲しかっただけに残念でした。

義貞の冒険譚としてはある程度楽しめたのですが、
この時代の複雑な状況を生かせたかといわれると微妙で、
義貞自身もシンプルな人格であっただけに
あっさり気味な読後感が残る作品でした。
義貞が新田一族だけでなくもう少し他の人物たちと絡めば
もっと味わい深い作品になったかもしれません。

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