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2018/04/18

『ロスト』呉勝浩 感想

ロスト
ロスト
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呉 勝浩
講談社
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複雑怪奇な誘拐殺人事件を扱ったサスペンス小説。

まず誘拐事件発生から被害者の死体が発見されるまでの
ジェットコースターっぷりが素晴らしいですね。
誘拐犯が電話してきたコールセンターの混乱っぷりや
100人の刑事を使っての日本100箇所への身代金輸送、
被害者の死体発見から容疑者逮捕まで凄くテンポがいい。

合間に挿入される監禁拷問描写がどう繋がるかと思ってたら
監禁拷問されていた被害者が誘拐事件の容疑者として
逮捕されたというオチで前半が終わるという構成は
自分を物語に引き込むには十分過ぎる衝撃がありました。
殺人事件発生中にアリバイがないというのはよくありますが、
その理由がどこかで監禁されていたからというのは珍しい。

後半の事件捜査パートの構成もよく練られています。
拷問事件の被害者にして誘拐事件の容疑者である安住が
事件を追うにつれて彼自身の過去が明らかになって行き、
全てが真相に繋がっていく流れはお見事でした。

かつて罪を犯しそれを反省して人のために尽くしても、
罪を犯した本人が納得できない限りは救われない。
悪人だったらスッパリ忘れて生きるんでしょうけど、
真面目な人間ほど苦しむというのはよくあること。
救いがない話ではあるのですが、救いがない世界でも
自分が出来ることをやっていくしかないという
僅かな前向きさも感じさせてくれる作品でした。

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