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2018/04/04

『殿さま狸』簑輪諒 感想

殿さま狸
殿さま狸
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蜂須賀といえば秀吉を支えた小六が有名ですが、
この本の主人公は息子の方である家政の方。
自身は十分に優秀といえる才覚を持ちながらも、
秀吉や小六といった英雄たちを身近に見ていたせいで
微妙に自己評価の低い家政が一人の大名として
自立していく姿を描いた歴史小説です。

この作品の家政は基本的によく悩み迷うのですが、
それを隠そうと常に強がっているのが特徴です。
一歩間違えると強がりが過ぎて嫌われそうな人格ですが、
彼自身が自分の欠点を弁えていてそれを補うために
考え続けるという努力をしているところは好印象。
自分の才能の限界を承知しているからこそ
常に自分の作戦に見落としがないか考え続ける
臆病なところは小心者としてはとても共感できますね。

序盤から思わせぶりに登場していた法斎の正体や、
作中で何度も使われていた川並衆という言葉が
クライマックスに結び付く構成もお見事。
関ヶ原に参戦せず出家したと見せかけて…という展開は
小説として上手く想像力を広げて作った感がありますね。
こういうのは歴史小説の醍醐味でしょう。

父親に対して素直になれない反抗期の青年が
狸と言われる大名にまで成長する姿を
見事に描ききった作品だと思います。

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