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2018/03/17

『でれすけ』簑輪諒 感想

でれすけ (文芸書)
でれすけ (文芸書)
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簑輪 諒
徳間書店
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北条と並ぶ関東の雄・佐竹義重の物語。

物語の期間は北条滅亡から関ヶ原の戦いまで。
時代の主役が豊臣から徳川へ移り変わる激動の時代を
名門佐竹家のトップとしてどう乗り切るのか
問われるというのが今回の作品の主なテーマです。

血筋と実績に裏打ちされた義重の落ち着きは頼もしい。
秀吉や家康に対しても畏怖を感じつつも
堂々とした応対を見せるのはお見事ですね。

ただ、その落ち着きゆえに時代の流れに対する反応は鈍く、
豊臣に近付く義宣と意見が分かれてしまうのが皮肉。
義宣が義重の愛刀を削って脇差にしたエピソードは好き。
義重は作中でも何度も戦国時代を懐かしがっていますし、
宮中政治には向かない武人として描写されています。

そんな佐竹親子が悪戦苦闘しながら
何とか時代の波を乗り切っていくのは面白いのですが、
やはり問題は関ヶ原の合戦での立ち回りです。
佐竹親子の小説ではここがクライマックスになることが
多いのですが、どう頑張って描写しても
実際に戦ってないので微妙に盛り上がりません。
江戸に特攻して自爆していれば
それはそれで物語として美しかったんですけどね…。

一定の面白さはあったのですが、
佐竹親子の扱いの難しさを感じる小説でした。

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