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2018/03/09

『噂の女』奥田英朗 感想

噂の女 (新潮文庫)
噂の女 (新潮文庫)
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奥田 英朗
新潮社 (2015-05-28)
売り上げランキング: 33,965

噂の女をテーマにした短編連作小説。

舞台となるのは昔ながらのしがらみが多い田舎。
そんな田舎で様々な人物が糸井美幸という女について
噂するというのがこの本の基本的な流れ。

最初の短編を読んだときは何も解決していなくて
なんじゃこりゃ状態だったのですが、
読み進めていくうちに美幸が次々と愛人を乗り換え、
しかも死亡した愛人からは遺産を相続していることが
分かってくると一転して面白くなりますね。
あくまで殺しているのでは?という噂だけで
実際殺すシーンがないのが怪しさを倍増させています。

美幸が悪人なのは確かですけど、それに対して
周囲の風当たりが意外と優しいのは面白いところ。
殺された愛人の親族は怒っているものの、
遺産を取られたことに怒っているだけで
故人の死を悲しんでいる人間が少ないのが冷たい。

増してや血の繋がらない他人からすれば
お金持ちからお金をとって何が悪いという感じで
むしろ美幸の行動を応援してすらいます。
ここらへんは外野の無責任さをよく現していますね。

一人の女に振り回される欲深い関係者と、
それを面白おかしく噂する田舎の人間という
社会構造をブラックに描いていて最後まで楽しめました。
ちょっと人間不信に陥りそうですけどね。

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