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2018/01/13

『裏関ヶ原』吉川永青 感想

裏関ヶ原
裏関ヶ原
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吉川 永青
講談社
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関が原の合戦に関わった6人の武将たちの物語。

黒田如水、真田昌幸の物語は少し似ています。
両者ともに当時屈指の策士であり相応の野心を持ちながら、
なぜ天下を取ることができなかったかということを
それぞれ甘く見ていた息子たちに教えられるという展開。
どちらも野心から開放されて終わるので爽快感があります。

佐竹義宣の生き様は非常に強かで痛快ですね。
三成と家康、それぞれに対する義理はしっかり果たしつつ、
決して義理以上の手助けはしないという頑固っぷり。
表面上は義理堅さを見せつつ内心では隙があれば
全力で勝ち馬に乗ろうと考えてるズルさも面白いです。

細川幽斎の立ち回りもお見事。
歌を極めたがゆえに秀吉の耄碌を見抜き、
歌で作った人脈によって大軍に攻められても生き延びる。
ラストでは成長した忠興に歌でチクリと
反撃されるところも愛嬌がありました。

最上義光の物語は殺された娘の復讐譚でしたけど、
これについては使い古されたネタだったのが残念。
謀将として見た場合も意外性のある策が少なく、
全体的に新鮮さの薄い作品でした。

ラストの織田秀信の話はちょっと切ない。
信長の孫としての呪縛を振り切った秀信が
自分の意思で三成に味方するという展開はいいのですが、
終わり方が物悲しくて爽快感は少なかったです。

全体で見ると前半の黒田、佐竹、細川、真田の物語は
爽快感の溢れるハッピーエンドだったのに対して
後半の最上、織田の物語が重めの内容だったせいで、
一冊の本としては微妙な後味になってしまった感が。
前半の4本の雰囲気のまま最後まで走ってくれれば
文句なしの良作だったんですけどね。
もしくは最初から暗めの作品ばかりを集めるか。
前半だけでも十分楽しめたのですが、
それだけに後半の落差が惜しい作品でした。

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