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2017/12/30

『蝮の孫』天野純希 感想

蝮の孫
蝮の孫
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天野 純希
幻冬舎 (2016-12-15)
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美濃斎藤家の最後の当主である斎藤龍興の物語。

斎藤龍興といえば、歴史上での最大の役割は
美濃を信長に奪われるところなのは確かですが、
この物語では主人公を張っているるだけあって
美濃を奪われてからの彼の生き様がメインとなります。

ダメ人間だった龍興が竹中半兵衛に城を奪われたことで
領主としての自覚に芽生えるという展開は面白い。
領主としての内政を重視する龍興と、
謀略による軍事を重視する半兵衛のライバル関係も新鮮です。
もしこの二人がしっかり手を組んでいたら
信長も退けられたかもと思わせる描写が上手いですね。

信長包囲網の一翼を担う過程での
鈴木孫一や朝倉義景との関係も面白かったです。
特に義景についてはよくある無能な人物ではなく、
信長という脅威に対して足掻き続けようとする
地方領主という書き方に徹していたのが良かったですね。
読後に義景メインの作品を読みたくなりました。

オチに関しても希望があって読後感も良かったのですが、
基本的に敗戦が多く、龍興自身がトップとして
戦う局面が少なかったこともあって
全体的には小さく纏まってしまった感はあります。
史実での活躍が地味な人物を主人公にすると
この問題から逃れるのが難しいのは仕方ないですけど。
とはいえ小説としては読みやすかったですし、
龍興の大活躍を期待しなければ楽しめる作品だと思います。

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