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2017/12/07

『天下を計る』岩井三四二 感想

天下を計る
天下を計る
posted with amazlet at 17.12.07
岩井三四二
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豊臣家の兵站を支えた長束正家の物語。

長束正家については伊東潤さんも書いていて
あちらの正家は全く融通の利かない石頭でしたね。
岩井さんの正家も数字に拘る頑固な面はあるものの、
人間的には好意的に見られる部分も多かったです。

この本の正家はとにかく計算が好きなのですが、
石頭なりに嫁や子供を大事にしていたり、
主君への忠義を持っていたりするところが魅力ですね。
正家の喜怒哀楽をしっかり描くことによって
冷たいロボットではなく一人の人間として描写しています。

検地によって全国の富を数字化することに
ロマンを感じるところは数字オタクらしいですが、
新しいデータを見たいという欲望には共感できます。
島津征伐や北条征伐の頃はやりがいのあった兵站管理が、
朝鮮出兵時には絶望しかない仕事になっているのも面白い。
かつて兵站を重視していた秀吉がボケていくことで
兵站軽視になっていくという書き方は新鮮でした。

関が原についてはあっさりした描写ですが、
小大名で活躍の機会もないことを考えると仕方ないか。
とはいえ、不正は許さないという生き方を
家康に対しても貫いた生き様は見事といえるでしょう。
切腹すらも仕事と考えて淡々とこなす姿に
彼の仕事人としての矜持を見せ付けられた思いです。

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