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2017/10/20

『求天記―宮本武蔵正伝』加藤廣 感想

求天記―宮本武蔵正伝
加藤 廣
新潮社
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かの有名な宮本武蔵の物語。
ちょうどFGOでも宮本武蔵のイベントがやっているので
改めて武蔵について読むにはいい機会です。

物語は武蔵が佐々木小次郎と対決するために
小倉藩へ向かうところから始まります。
この頃の武蔵は出世欲に取り付かれている小人物。
剣の腕こそ一流であるものの性格がガツガツし過ぎてて
その空回りっぷりは周囲の目には滑稽に映ります。
超人武蔵にも精神的に未熟な時期があったと思うと、
一人の人間としてどこか身近に感じられますね。

小次郎との対決で武蔵が木刀を使った理由として、
長さだけでなく軽さを重視しているのは面白かったです。
全ては小次郎の物干し竿よりも先に攻撃を届かせるため。
小次郎の剣術に勝つために綿密な計算をする反面、
純粋な腕では小次郎よりも劣るかもと悩む武蔵の姿は
これまた人間臭く、勝敗が紙一重だったことを実感します。
小次郎とキリシタンを結び付ける解釈も面白い。

しかし物語の盛り上がりという点ではここが最高潮で、
その後は大阪城の戦いに参加したりするものの活躍はなし。
真田幸村や水野勝成との絡みはあったりしますが、
戦い全体から見るとモブ程度の存在なのが悲しいですね。

その後は絵の勉強をするため全国を巡ったり
義理の息子との関係に悩んだり吉原で女を作ったりと
剣豪とは思えぬ地味な人生を送るのですが、
これはこれで武蔵の新たな一面が知れて面白かったです。
落ち着いてからも軍師や剣術家としての見栄を捨てきれず
ちょくちょく大きな態度を取ってしまうところはご愛嬌。
成長しても成長しきれないところは良かったです。

作者の考えが直接的に主張されるので
場面によっては納得できない語り口もあるのですが、
迷走する武蔵の生き様には共感できる作品でした。

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