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2017/10/15

『ガソリン生活』伊坂幸太郎 感想

ガソリン生活 (朝日文庫)
伊坂幸太郎
朝日新聞出版
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伊坂さんの作品といえば毎回凝った構成が魅力ですが、
今回は一際凝っていると言っていいかもしれません。
何せ語り部が車なんですから。

今作の主人公はマツダの緑デミオ。
平凡な母子家庭の自家用車だった彼がひょんなことから
有名女優を乗せるところから物語は始まります。
物語の中心になるのは女優の死亡事故と、
極悪チンピラによる脅迫事件。
一見関係のない2つの事件がいつの間にか複雑に
絡み合っていくのは伊坂作品では定番のパターンですね。

主人公が車ということもあって、
人間が乗っていないときには人間の行動や会話を
知ることが出来ないという縛りは面白かった。
会話が描写されなくても車だから仕方ないと割り切れるので
作者の都合よく情報を隠せるのは便利過ぎますね。
これだけならずるく感じてしまうところですが、
その代わり車同士の会話で意外な情報が漏れてくるので
総合的に見るとアンフェアに感じないバランスは上手いです。
車が沢山出てくる作品だけに車の名前を知っている人と
知らない人では楽しさに差が出てしまうのは仕方がないか。

事件自体はシンプルでトリックも予想しやすいですが、
話の構成は逆転劇なので読後感は爽快でした。
登場人物に対してそれほど理不尽な結末がなく、
それぞれに妥当な評価が待っているので気持ちいい。
車たちの人間に対する考え方もいちいち面白く、
昔読んでいた車が主人公の童話を思い出しました。

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