2017/09/04

『利休の闇』加藤廣 感想

利休の闇
利休の闇
posted with amazlet at 17.09.04
加藤 廣
文藝春秋
売り上げランキング: 94,201

日本史上、最も有名な茶人である千利休の物語。

期間としては秀吉と出会ってから利休が切腹するまで。
藤吉郎だった頃は利休を師として敬愛していた秀吉ですが、
天下人が見え始めた頃からその立場は逆転し、
最後には悲劇的な結末に辿り着くというのが本書の流れ。
基本的にはよく知られている歴史通りですね。

しかし細かいところでは目新しい描写が多かったです。
新参である利休と古参である津田宗及、今井宗久との争いや、
文化人として落ち着いたイメージが強かった利休にも
遊び人で傲慢な一面があったことなど、
利休を一人の人間として掘り下げていたのは好印象。

対する秀吉にしても一般的な暴君イメージではなく、
利休にも様々な原因があった結果の切腹という扱いです。
利休のわび茶は確かに文学として高尚なものですが、
秀吉の明るい祭りとしての茶会が間違っているかというと
決してそうではなく、どちらにも一理あると言えるでしょう。

ただ、秀吉と利休の関係は面白かったのですが、
投げっ放しの伏線も多いのが評価が難しいところ。
読後に調べて知ったのですが、どうやら同じ作者さんの
他の作品とリンクさせて考えた方が楽しめる作品のようで、
これ単品で読むとモヤモヤ感が残ってしまいました。
この作品の真価を楽しみたいのなら
まずは他のシリーズ作品を読むべきかもしれません。

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