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2017/08/24

『我が名は秀秋』矢野隆 感想

我が名は秀秋
我が名は秀秋
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矢野 隆
講談社
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戦国時代で最も有名な裏切り者、小早川秀秋の物語。

物語は秀秋が小早川の養子に入るところから始まり、
前半は秀秋が元実家である豊臣家に失望する過程と、
義父である小早川隆景に救われる姿が描かれています。

自分が兄と慕った秀次を強引過ぎる濡れ衣で殺され
心に傷を負った秀秋を救ったのは新たな義父である隆景。
隆景による教育によって自信を取り戻した秀秋は
若年ながら大胆さと冷静さを併せ持つ青年に成長します。
そんな隆景から見ると秀吉亡き後の豊臣家は風前の灯。
早々と家康に通じ裏切りを画策したのは当然のことでしょう。

しかし自らの才覚を誇り過ぎたのは若さゆえの失敗か。
最終的にはそれを危険視した家康によって消されるという
夭折した武将のお約束パターンをなぞることになります。
家康の忍者軍団設定は便利過ぎるなぁ。

今回の話、秀秋の過去の出来事から
独特の人格が形成されるまでは上手く書かれていたものの、
家康が恐れるほどの才能の描写は薄かったですね。
関ヶ原での立ち回りも史実とほとんど同じですし、
その才能を実感出来る場面が少なかったのは残念でした。

ここらへんは『鬼手 小早川秀秋伝』の方が良かったなー。
あっちの秀秋は鳥居元忠と対面したり京極高次を寝がえらせたり
松尾山を攻め落としたりと、アクティブで面白かった。
石田三成も総大将に相応しい怖さがありましたしね。

今回の『我が名はry』も手堅い出来ではあるのですが、
折角悪名高き小早川秀秋という素材を料理するなら
もっと大胆に妄想を広げてもいいのではないかと思いました。

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