2017/07/27

『決戦! 熊本城 肥後加藤家改易始末』松永弘高 感想

決戦! 熊本城 肥後加藤家改易始末
松永弘高
朝日新聞出版 (2015-03-06)
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清正公で有名な肥後加藤家の改易騒動を描いた物語。

話としては最初から最後まで地味な感じですね。
戦国時代の派手な大戦を描く物語と違って
たかだか一大名が改易されるだけとなればそれも当然か。
とはいえ、改易という事件の裏にあった
ゴタゴタの見せ方が上手くて退屈しなかったです。

戦国時代の生き残りがまだいる状態での
若手との複雑な関係という着眼点は面白い。
特に水野家での、戦を経験している父と兄に対する
戦を経験していない弟のコンプレックスというのは
現代人から見ても共感しやすい描写だったと思います。

逆に加藤家が改易を受け入れる流れは共感しにくかったなぁ。
泰平の世の象徴となるという理屈は分かるんですけど
やっぱり幕府のやり方は理不尽ですし、
ここは腹を括って一戦交えて欲しかったところです。

もちろん熊本が火の海になるのを防いだともいえますけど、
物語としての盛り上がりを求めてしまうのは読者の性。
あと、改易する幕府側がビクビクしてるのは面白いのですが、
全てが終わってみるとビクビクしていた割には
平穏な結末だったというところも拍子抜け感がありました。

歴史小説ではあまりネタにされない
加藤家の改易に目を付けたのは良かったのですが、
魅力的な物語に発展させるとまでは行かなかったという印象。
歴史小説の題材選びの難しさを実感させられる作品でした。

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