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『完全なる首長竜の日』乾緑郎 感想

現実と脳内を行き来するSFミステリー小説。

植物状態の患者の脳にアクセスして
患者をカウンセリングしていくという設定は面白い。
似たような設定の映画に「インセプション」があるのは
巻末の選評でも触れられていましたけど、
インセプションでは外国映画らしい派手なアクションが
多かったのに対して、こちらは日本のミステリー小説らしく
精神世界での謎解きを重視した作品になっています。

この作品で印象的だったのは描写の巧みさ。
南の島の風景から主人公の作家生活までいちいち描写が丁寧で、
読んでいてそのシーンが想像しやすい作品になっています。
そのせいで現実に非現実が混じる異常な部分、
例えば首長竜のシーンなんかも容易に想像できてしまうため、
幻想小説を読んでいるような酩酊感が感じられました。
こういう現実と非現実が交じり合う作品は大好き。

ただ、良くも悪くも小さく綺麗に纏まった作品なので、
インセプションのように深く深く潜っていく作品と比べると
あっさりした読後感になってしまうのはしょうがないですかね。
これは方向性の違いでどちらがいいというわけではないです。
ひたすら深く潜って真相を求めるインセプションに対して、
この作品は死角になっている場所を発見する感じでしょうか。
どちらも知ってると比べる楽しみが出来ていいですね。

しかしインセプションはめっちゃ面白かったので
この作品も映画にすると面白そうだと思っていたのですが、
既に映画化されてたんですね…でも評価がいまいち。
ちょっと興味があるのでそのうち見てみようかな。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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