2017/05/16

『ブルーネス』伊与原新  感想

ブルーネス
ブルーネス
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伊与原 新
文藝春秋
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伊与原新さんといえば理系ミステリーなイメージですが、
今回の作品はミステリー色薄めのエンタメ小説です。

テーマとなるのは新型津波感知システム。
舞台となるのは東日本大震災を経験し南海トラフが迫る日本。
主人公・準平の所属するチームは一刻も早い
新型システムの稼動を目指して動き出したものの、
そこには既存のシステムや学閥が立ちはだかることに。

国家レベルのプロジェクトとなると動きが鈍くなり、
革新的なシステムが受け入れられるには
実際の災害で実績を出すしかないというのは分かりますが、
災害から人間を守るシステムを認めさせるために
災害が必要というのはなんとも皮肉ですね。
机上の理論に資金を出せないというのも分かるのですが…。

とはいえ、これは権威側だけの問題ではなく、
災害対策に失敗したとき叩く市民側の問題でもあります。
前例も予算も時間もなく、それでも予報や分析を外したら
ボロクソに言われるんだから守りに入るのも分からなくもない。
この本の終盤のように海保(政府)と学者と民間が
それぞれ自分に出来ることで積極的に力になる心構えこそが
地震大国日本では求められているのかもしれません。

現在の災害対策の限界を見せつつも
その最前線で戦う人々の懸命さをしっかり描くことで
爽やかな読後感を与えてくれる小説でした。

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