2017/05/05

『人魚の肉』木下昌輝 感想

人魚ノ肉 (文春e-book)
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文藝春秋 (2015-07-10)
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幕末を舞台に活躍した歴史上の人物が
不死の妙薬といわれる人魚の肉を食したことによって
数々の怪異に巻き込まれていく歴史ホラー小説。
どの話も定番の逸話をホラーネタと結び付けることで
一風変わった読み味を感じさせてくれます。

個人的に好きなのは沼尻小文吾と斎藤一の話ですね。
沼尻小文吾の横向き小文吾というちょっと間抜けな逸話を
横に何かがいるというホラー的な介錯に落としたのは上手い。
かつて介錯に失敗したという心残りを近藤勇の亡霊を
介錯することで晴らすという流れも美しいです。

斎藤一の方は数々の偽名を名乗ったというエピソードを
ドッペルゲンガーとして介錯しているのがこれまた上手い。
違う名前の自分が次から次へと現れるというのは
ホラーではよくある話ですが、この不可思議な状況で
嬉々として自分に勝負を挑むというのが剣鬼・斎藤一。
彼が自分らしさを貫いているおかげでホラーにもかかわらず
読後は痛快さが残るという面白い話になっています。

他にも死の瞬間を繰り返す坂本龍馬や
吸血鬼と化す沖田総司など、ホラーとしての怖さを持ちつつ
それ以上にワクワクさせるような話がてんこ盛り。
歴史とホラーが好きな人にはたまらない作品だと思います。

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