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『事故調』伊兼源太郎 感想
事故調
事故調
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伊兼 源太郎
KADOKAWA/角川書店
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人工海岸での陥没事故で幼児が意識不明の重態に。
事故の調査を命じられたのが元刑事の公務員・黒木。
この陥没事故の調査と黒木の生き方の二つが話の軸です。

この黒木、刑事時代のミスが原因で退職したわけですが、
このミスというのがどうしようもない出来事で、
誰も黒木を責めてないのに勝手に辞めちゃったんですよね。
完璧主義が悪い方向へ働いてしまった感じで、
前半は過去の出来事を思い出してウジウジし続けるせいで
読んでいて非常にストレスが溜まる展開でした。

ただ、後半やる気を出してからはそれが反転します。
僅かな手がかりでも諦めないでねちっこく追い続ける。
ウジウジがネチネチに上手くすり替わっていて、
これは現役時代に優秀な刑事と評価されたのも納得です。
そんな黒木が大舞台で真相を明らかにするカタルシスは凄い。
市長も潔いところがあったのは良かったですね。

今回の事件は職員の事なかれ主義が重なった結果ですが、
各職員の対応に共感してしまう部分も多かったです。
「責任取れるのか」と言われると何も言えなくなる。
こういうのは直した方がいいと思う人も多いでしょうけど、
いざ自分で動こうとするととてつもなく壁が大きいですね。
だからこそ黒木みたいな刺し違える人間でもいないと
改善されることはないんでしょうけど…。
上の人間だけでなく下の人間も変える必要がありますし
果てしない戦いになりそうでちょっとげんなりします。
陥没事件については決着しましたけど、
人の業についてはひとまず棚上げという感じですかね。

とはいえ、黒木の前半と後半での反転は痛快でしたし、
お役所サスペンスとして楽しめる作品だったと思います。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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