2016/12/20

『砂丘の蛙』柴田哲孝 感想

砂丘の蛙
砂丘の蛙
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柴田 哲孝
光文社
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ロートル刑事が地味に活躍する推理小説。

殺人事件で逮捕され出所した受刑者が出所直後に殺され、
その直後にかつて事件を担当した刑事までもが
殺されかけるという導入部は非常にテンポが良くて、
一気に過去の事件の謎が気になりました。

ただ、それ以降の展開はかなり地味。
ロートル刑事が主人公と聞くとイメージされる通り、
ひたすら足で情報を集める地味な捜査が展開されます。
とはいえ、地味ではあるもののこれはこれで面白かった。
劇的な展開こそないものの着実に話は進みますし、
読んでいて退屈させないところは流石柴田さんですね。
捜査手法こそ地味なものの、神戸や鳥取、島根と
手がかりを探るためにあちこち飛び回りますし、
ちょっとした旅行ミステリー的な楽しみ方も出来ました。

しかしオチに関しては難しさを感じる部分も。
これが現実でもあった尼崎事件に通じる
閉鎖コミュニティ内での大量殺人だったわけですが、
これについては現実の事件の方を知っていると
どうしても現実よりインパクトが少なく感じてしまいます。
小説的には美味しいネタではあるのですが、
扱い方の難しさを改めて実感させられた次第です。

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