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『死と砂時計』鳥飼否宇 感想
死と砂時計 (創元クライム・クラブ)
東京創元社 (2016-06-08)
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鳥飼さんらしさ溢れる奇妙なミステリー短編集。

舞台は架空の国の刑務所。
世界中の死刑囚が集められるここで起こった事件は
動機も手段も想像を絶するものばかりで、
どの短編も最後まで油断できない物語になっていました。

ミステリー作品の場合、最初に魅力的な謎が提示されても
手段や動機でガッカリすることが少なくないのですが、
この本に関してはそんな心配は無用でしたね。
どの事件も起こった当初は理解不能なんですけど、
それだけに謎解きシーンでそれまでばら撒かれたピースが
カチカチはまっていく流れの快感が素晴らしいです。

正直、動機に関しては凄く特殊なものばかりですが、
舞台が世界中の死刑囚が集まる刑務所なので
むしろ特殊な動機の方が納得できてしまうのが面白いです。
とはいえ決して理解できないほど特殊な動機ではなく、
そういう風習や性癖、思想もあるだろうなぁという感じで
共感できなくてもなんとなくありそうなレベルなのが上手い。
このバランス感覚は絶妙だと思います。

短編集のラストを飾る物語のオチもナイス。
非常に後味の悪い結末でありながらも
この奇妙な本のラストとしてはピッタリにも思えるせいで
完成度の高い本を読んだ後特有の爽快感が残ります。
いやもうホント、酷い結末なんですけど。

異国の刑務所という奇抜な設定だけで勝負するのではなく、
そこから更に意外性のある物語を創造した見事な短編集でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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