2016/12/06

『迷子の王様: 君たちに明日はない5』垣根涼介 感想

迷子の王様: 君たちに明日はない5
垣根 涼介
新潮社
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様々な人物のリストラ事情を描くこのシリーズも最終巻。
5巻というのは短過ぎず長過ぎずでちょうどいいと思います。

今までもポジティブなリストラを描いてきたこのシリーズですが、
今回はその集大成だけあって今まで以上にその傾向が強め。
自分を必要としない会社にいる意味はあるのか。
もっと自分自身を生かせる仕事があるのではないか。
ということについて真面目に考える大人たちが描かれています。

リストラという一大事件に遭遇しながらも
なんだかんだで上手くいく彼らの姿を見ると
ご都合主義と言いたくなる気持ちもほんの少しありますが、
彼らが会社を飛び出してもやっていけるだけの
人間的背景をしっかり持っていたこともまた確か。
読後感は羨ましさ半分、悔しさ半分といったところでしょうか。
今回は作中で知的背景という言葉が出てきましたけど、
人間を作るのは知識だけじゃないと改めて教えられました。

最終話はこれしかないという展開でしたね。
リストラする側だった主人公の会社が解散し、
主人公がスカウトマンとして再出発するという決着。
単にクビを切るだけでなく、その人物が会社にいることで
人生が充実するのかということを考えてきた彼には
むしろスカウトする側の方が向いていたのかもしれません。

苦しいときにこそ前向きにという単純で大事なことを
思い出させてくれるこのシリーズ。
また最初から読み返したくなってきました。

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