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『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎 感想
フィッシュストーリー (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
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伊坂さんらしい4本の短編が詰まった短編集。
フィッシュストーリー、ポテチは映画視聴済みです。

動物園のエンジンは青春物と言っていいのだろうか。
井坂さんの青春物といえばつい最近砂漠を読みましたけど、
動物園の方は戻れない過去を思い出す感じが切ないです。
ただ、今となってはもう会えない友人たちとの
過去の思い出に浸るというシチュ自体は結構好きです。

サクリファイスはドロドロした話なのに爽やか。
寂れた村の陰鬱な風習の話と見せかけて
実は変わらない友情の物語だったのは爽快でした。
こういうどんでん返しは伊坂さんお得意の展開ですね。
メルヘンに見せかけて切ない話だった動物園とは反対です。
しかし黒澤さんは語り手として安心できますね。

フィッシュストーリーは悪くないんですけど、
映画の出来が素晴らしかったので地味に感じました。
とはいえ、決してこの原作が悪いという訳ではなく
それぞれの時代の話を映画栄えするように
派手に改変した映画スタッフが見事だったということ。
コンピューターに潜む重大なバグを直すよりも、
隕石を木っ端微塵にする方が派手なのは当たり前なのです。
ホント何度でも見たくなる映画でした。

ポテチはほぼ映画のままでしたね。
こちらはむしろ小ぢんまりした雰囲気のお話ですし、
フィッシュみたいに壮大にしなかったのは正解でしょう。
重力ピエロに通じる切ない爽快感が感じられる作品でした。

4本の中で一番好きなのはサクリファイスかなー。
ちょっと捻った男の友情のあり方がとても素敵。
あの二人が全部墓場まで持って行くと思うと寂しいですが、
それ以上に「参った」という感情の方が大きい。
こういう人間の感情の解釈が反転する作品には弱いのです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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