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『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎 感想
夜の国のクーパー (創元推理文庫)
伊坂 幸太郎
東京創元社 (2015-03-19)
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猫が喋り杉が歩く、どこかの国での物語。

伊坂作品といえばちょっと変わった現代ドラマが多いですが、
これは一風変わった童話仕立てになっています。
伊坂さんのデビュー作のオーデュポンのことを考えると
原点回帰というのが正しいのかもしれませんが。

今回の物語は大部分が猫視点で進みます。
猫は人の言葉が分かるものの猫の言葉は人に通じず、
人間たちは真面目に国の危機を嘆いているものの、
それを猫たち視点で好き勝手に評していることもあって
妙にコミカルな雰囲気になっているのが面白いです。

ただ、その猫たちにしても優位な立場というわけでなく、
ネズミとの立場の逆転や敵国の脅威が降りかかってきたりと、
人間と同じようなゴタゴタが降りかかってきます。
立場の上下や敵味方が味方によってコロッと変わるのは
面白さと同時に、恐ろしさも感じます。

作中で複眼隊長が言ってる「疑え」というのは
伊坂さんの『魔王』での「考えろ」に通じるものがあります。
そしてそこから更に一歩踏み出せというのがこの作品。
そう考えると実質主人公は複眼隊長だったのかな。
「私」なしでも話は成り立ったような気もしますが、
このファンタジックな世界観で現代人視点があるのは
いい感じにアクセントになっていたこともまた確かです。

根本的なテーマや世界観は童話ちっくなんですけど、
そこにサスペンス風な味付けをして
大人でも楽しめる作品に仕上げたという感じですね。
いつもと比べると物語の展開は穏やかではあるものの、
それでも最後まで読むと爽快感の残る作品でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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