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『ルカの方舟』伊与原新 感想
ルカの方舟 (講談社文庫)
伊与原 新
講談社 (2015-10-15)
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研究者による論文のFFPを扱った惑星科学ミステリー。

FFPとは捏造、改ざん、盗用の略称。
盗作を扱ったミステリーはいくつか読んだ記憶がありますが、
理系業界の論文問題を扱った作品を読んだのは初めてかも。
この手の作品は一歩間違えると専門用語を並べるだけの
それこそ論文のような作品になってしまうこともありますが、
この本は火星の生命というロマン溢れるテーマと
ポスドクの厳しい現状というリアルなテーマを混ぜることで
科学小説としても魅力のある作品になっています。

ミステリーらしく殺人事件が起こってはいるのですが、
今回の一番の謎はいつ不正が起こったかということ。
今までは不正というともっと単純なイメージだったんですけど、
この作品ではFFPの様々な手段について調査されていて、
不正調査の難しさについて実感することが出来ます。
不正の動機にしろ手段にしろ専門知識がないと予測困難ですが、
それはそれとして非常に興味深い物語だったのは確かです。
ラストのポスドクの悲哀を感じさせるオチもいい。

伊与原さんの作品を読むのはこれで3冊目ですが、
いずれの作品も専門知識を上手くストーリーに生かしていて、
自分としてはお気に入りの作家さんになりつつあります。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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